自由と良心
てると
自由と良心
タリタ・クム。そんな言葉があったような気がするけど、死んだように眠っている少女を起こしてはいけないはずだ。主、失す。神は死んだという意味だ。
遥かな時の空間を伝わってきた物語にはきっといいものがあるに違いない。僕の母親も癌になって死ぬまでの間に『孟子』を読んでいたし、それを僕に勧めもした。良心。「お前を人間をとる漁師にしよう」と言った御子の言葉には確かに良心が籠っている。漁師の良心、それは両親を捨てなければならないらしい。未だに僕は愛と甘えの区別がつかない。僕が必死の水掻きで浮かんでいるのを見たら、誰か僕を釣り上げてください。そんなに不味いものではないはずです。
自由、この参照点を持たないが、しかし確かにそれとしてよくわかる、不思議な語。もしかしてそれは甘えのうちに成り立っていた幻惑ではないのかな。お母さんとお父さんと一緒に行った海の砂浜かと思う。父親の稼いだお金で繋いでいた回線とか、台所の酒。
しかし神様は僕たちの傲慢な願いを叶えてくれたんじゃないか。パン、酒、自由、良心。この頃必死に神様に縋りついていて感じる、自分の精神がバランスを崩して平均台から落ちそうになる時にかかるあの呼吸困難が、頭の上から釣りあげられていることで来ることのない、そんな感じ。天から与えられた自由って、でもやっぱり、言いかけて止める。どうしても絶対的自我のやっと檻から解放されたあの闇夜の煌めきの自由が、僕は好きだ。こうしているくらいがちょうどいいんじゃない?子供は無闇に反抗するんじゃなくて、だいたいが親以上に正しいから反抗するものじゃないか。愛という美名に隠れたる怯え。謹慎になったって隔離されたって恵みは止まらない。だって作り手は作られたものに自分を見ると思うけど、作られた方から見れば別に自分は作られたわけではないし、言ってしまえばそうなってしまったものはしょうがないというような、砂浜の波と同じだ、しかし波は海には逆らえないし、海は宇宙に逆らえない。自由ってそんなもの。流行りの文化も潮の満ち引き。
必要なときに必要な分だけ貰う人のできる良心って、きっと、荒立てしないように海に返すようなものかな。全員同じとはいかない。自分にできることは何かを、そして自分にできないことは何かを、よく試さないといけない。考えるんじゃない、試練に投げ込むんだ。ほうっておいても投げ込まれます。その時は、どうかよろしく。
自由と良心 てると @aichi_the_east
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