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「そうだったね、敵味方問わず、君たちが殺した人数は。 六歳にしてその数は、あまりにも多過ぎたよね。 だから軍のミスとして爆弾投下で証拠隠滅。 ついでにその爆弾投下は誤った指示のもと投下されたとして、処理されたけど、全ての目撃者を抹殺は出来なかった。 君たちの行いを見た…」


「もういいだろ、いい加減にしろエイキ。 俺たちに当時の記憶なんて殆ど無いんだ」


 シンエイは無表情で、エイキの言葉を止めた。サイカは二人から目を逸らし、シーツを握りしめている。


「うん。 ごめん」


 今度こそ、本当に反省したように俯くエイキを見て、シンエイは、重苦しい雰囲気に耐えられずに、大きな唸り声を上げて頭を掻きむしった。


 シンエイは何より、辛気臭いのが苦手なのだ。


「本っ当にしょうがない奴だな! 勢いに釣られて口走った俺が悪いけど、俺らの事は絶対に言うなよ。 今後は今まで以上に、諜報科の奴に気を付けろよ。 俺らの事を嗅ぎつけて、探ろうとしてる奴らは学校内外問わず、沢山いるんだからな。 ついでだから第四世代の事は教えてやるよ」


 シンエイの大声に、長年一緒のサイカは思わず吹き出して笑い声をあげた。エイキが入校してきてから、シンエイは特に、二人はペースを乱されてばかりなのだ。


「よく考えたら第四世代の事は、九坂の生徒になったし、僕らのチームになったんだから別に隠さなくてもいいよね。 第五世代が入校するなら、どちらかと言うと知っといてもらった方がいいと思うんだ」


 エイキは、サイカの言葉を聞いているのかいないのか、突然何かに納得した様子だ。


「だから、あんなに毎日何回も盗聴器調べたり、部屋出る時にブービートラップ仕掛けしたりしていたのか。 チェックするのは当たり前として、余りにも潔癖すぎるとは思ってたんだよね」


 エイキは、ようやく二人の警戒心の強さの理由がわかり、嬉しささえ感じていた。


「君たちの事は誰にも言わない、約束するよ。 五年間、何もせずに生き残ってきた訳じゃない。 僕は、特S部隊で活躍して生き残ってきたんだ。 実力を見誤って貰っちゃ困るね」

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