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 自由時間。シンエイ、サイカ、エイキはいつものように自室に引きこもっていた。彼らは同チームで、部屋はチームごとに分けられているのだ。通常は六人チームで六人部屋だが、訳あって現在は三人で広々と寛いでいる。


「なあサイカ、第五世代の入校の決定って本当なのかよ」


 部屋に盗聴器がない事が確認できると、三人ともベッドに倒れ込んだ。シンエイは第五世代の事が気になっていたのか、早々に話題を切り出した。


「第五世代が来るの? それは存分に殺し合えってことかな」


「お前はすぐ殺すって言うのやめろ」


 シンエイは、戦闘狂のエイキに向かって枕を勢いよく投げた。だが投げた枕は見事にエイキの顔に当たり、これにシンエイは少し驚いていた。


「僕の最近組んだ諜報科の奴がね、教官に聞いたって」


 シンエイは驚いて目を丸くし、サイカの方を見て反論する。


「聞いただって? そんな極秘情報、一般教官は知らねえだろう。 知ってるとして副教官長より上ぐらいだろうけど、普通に教えてくれるわけない。 嘘かもな」


 シンエイは、期待とは裏腹に、安堵した様子で、再びベッドに寝転がった。


「僕も七割は信じてない。 諜報科の奴って諜報の練習で戦闘科を引っ掻き回すの好きだしね。 ただ、稀に教官にも拷問したりして、情報を得る奴もいる。 今回組んだのは、変装とか潜入が得意らしくて、結構侮れないんだよ」


 サイカは何とも言えない苦笑いをした。


「だから俺は諜報科と組まないんだよな。 本当に苦手だ」


 シンエイは、心底うんざりした顔を隠そうともしていない。一方で、エイキは何かを思い出していた。


「あながち嘘って訳でもないんじゃないかな。 ここに来る前に、戦場で他チームのメンバーが、第五世代の育成始まるって、噂してるの聞いたし」


 エイキの話に、シンエイとサイは顔を見合わせた。

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