エピローグ これからのこと


「それで、結局は彼はどこかに行ったんですか?」


 数日後、元の屋敷へと戻ったグロアの元にバンとロンが来ていた。


「はい、彼は海外へ行きました」


「ほーん、海外か。いいのお」


 バンは憧れの地なのか、それとも昔を懐かしんでいるのか、しみじみとした顔をする。

 それに比べるとロンは少し不満そうに出された紅茶を飲んでいた。


「全く、犯罪者の言うことはわかりませんね」







「俺さ……改めて言うことじゃないかもしれないけど、ずっと自分のことしか考えて無かった。何でも他人のせいにしていたのは別に悪いと思ってない、だけど俺がずっと不満を言っていた時に、もしかしたら俺だけじゃ無かったのかもしれない。俺だけがこんなに辛いことに合ってるのにお前らは何の気兼ねなくヘラヘラ気味悪い嗤い声を立ててやがるって」


 普通ならこの時点で、他人のせいにしてきたのを悪いと思っていないのを軽蔑する馬鹿かもしれなかったが、グロアは過去を目の当たりにしているからか、マガマガの言うことに納得した。あんなことされたら誰だって他人を恨むって。


「でもそれは違った。俺のように涙を耐えながら生きている奴は、多分案外近くにいたんだ。だって俺だけが親ガチャと能力ガチャが悪いわけじゃないし、多分、それ以外のガチャは案外恵まれていたと思う。ステータスが絶対的に低ランクなんて本当はいないのかもな。ゲームでG級モンスターが即死魔法唱えるみたいにな」


「……そうですね


「……少し話ずれるかもしれないけど実は俺こう見えても小学生とかは温厚性格貫こうとしていたんだ」


 知っていた、過去もそうだが父親が絶対何が何でもマガマガに暴力を震わせないようにしていたことを。


 価値観が全くの正反対の者ならこれは何かおかしい。フィクションならこんな奴いない、それか何かの伏線とされるものだ。


 しかしこれはしっかり現実だった。


 現実、マガマガの父親は絶対暴力を振るうことを禁止し、自分は少しでも気に入らないことになれば、息子の頭を殴り蹴っていた。


「周りの生徒とかでも、離婚とか親が異様に怖いうるさい、あと全然何も買ってもらえない。とか聞いてみんな俺より苦労していると思い込んじまった。だけど、ある時、そいつらの過去そこまでじゃないって気づいちまった。だって離婚したガキは毎日毎日怒鳴りあっているって聞いたけど、こっちは怒鳴り散らし泣き散らしこっちに牙を剥いて半狂乱になって色々物投げて来て、目に当たって痛い時もあった。CMの合間に些細なことで喧嘩して、俺の成績についても喧嘩し、俺を怒鳴ったりしていた。それで母親は半分自傷癖になって毎日俺の目の前で自身の脚に鞭を打ってた。信じられないけどそうしていたんだ。だから、他の離婚とかの経験した奴で、俺も同じだと伝えようとして、今言ったこと伝えたら


「……は? そんな親がいるわけない。我をからかっているのか?」


 そこから弄られ役、とにかくキモい見た目の奴とかやらされた。それを経験していたら、何しても良い弱虫と言われ始めた。


 でもそんな奴らよりも俺の両親の方が一緒にいたら大変な存在であった。それが親ガチャのきっかけ。


  

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貴族といじめられっ子 顔ガチャ同じで入れ替わり いじめられっ子は成り上がる @nluicdnt

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