なんかスチームパンクっぽいSS

ブドウのしぼりかす

偉大なる死

 乾いた洗濯物を取ろうとすると、稀に雲の中へと落下していくことがある。

 そんな儚い光景は、この飛行船ではよくあること。

 ひらひらと落ち行く洗濯物を眺めていると、奇しくも同じ物を見つめる少女が視界に入った。

 少女は空の蒼色を背景とし、甲板の上から落ち行く洗濯物を眺めている。


「おいユーリ! 何見てんだ?」

男は大きな声を少女に送った。


「パンツを見てます! 男物の白いブリーフ!」

少女は元気よく返答した。


「それは俺のだ! 相棒の死をしかと目に焼き付けとけ!」

「はい!」


男は残りの洗濯物をカゴに入れて一服する。

一方、少女は敬礼していた。目を閉じて、深く祈った。


[完]

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

なんかスチームパンクっぽいSS ブドウのしぼりかす @lureloser

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ