シェルターの補強・点検と長者、エンリケの過去


 ギャーベージタウンでは1000人が入れるシェルターの補強と点検が行われ、五円とエンリケ、オオグチボヤが未開封の食料と衣服を砂浜に並べていた。

 「もったいないよね」オオグチボヤが言うと、エンリケが深くうなずき「賞味期限が切れたものも、無駄にせず食べよう」と温めたパンとコーンスープを缶から出した。


 「焼くとおいしい。紛争地域にいた時は、空腹で過ごすことが多かった。富裕層なんて、大嫌いだ」完食したエンリケの茶色い目に、涙が浮かぶ。

 キュウリを食べ終えた長者がスズランの刺繍付きハンカチを渡し「エンリケ。ワシは日本社会にいた頃、体重増加により腹痛を起こすことが多くてな。ハンマーヘッド諸島に飛ばされた後に階段を上り下りする運動を始め、食べる量を調整している」と言い、口元をヒレで拭いた。



 海から上がってきた寡黙が「白波が立ち始めてる!」と大声で五円たちに呼びかける。


 

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