回想・現在 スポGOMI大会の開催
製氷機が作った分厚い天然氷で、気温が下がっていた。「寡黙さんがアオザメに戻り、あなたを背中に乗せて木陰に移動したんです」書道用の和服を着用した健太が小声で言い、氷入りのいよかんジュースを渡す。寡黙が古びた丸椅子に座り、ジュースを飲み終えたジーナの親指に唇をつける。
「寡黙さん。ゴミを拾い集める競技『スポGOMI大会』を、ギャーベージタウンでやりましょう」「健太。エンリケは埃を吸うとのどが腫れる体質だ」「ええ。時間無制限でゴミを探してもらうんです」「わかった。エンリケと長者さんに伝える」「ありがとうございます」
―――当日。ギャーベージタウンにはカニやウツボ、カメたちが集まっていた。「3人1組で海岸や道路のゴミを拾い、配布した袋に入れてください。空きビンは仕分け後、洗浄して使います」
「『スポGOMI大会』、開始!」寡黙の声とが響き、カニたちが俊敏な動きで吸い殻を集める。「有害なものをなんで吸いたがる?」顔をしかめながらハサミでつかみ、ビニール袋へ。
ジンベエザメの博識が豪快に水を噴いて空きビンや冷凍食品のトレーを集め、寡黙とオスのタカアシガニ・紅白が紙袋に入れた。
200トンのゴミが集まり、洗浄を終えた空きビンはヴィンテージタウンで活用されることになった。
「エンリケ。のどは腫れていないか?」長者に聞かれ、「うん。ギャーベージタウンをきれいにしてくれて、ありがとう」エンリケは清掃を終えた参加者全員に深く頭を下げ、嬉しそうな笑顔を見せた。
「健太。海中で見つけた古い1000円札があるけど、使う?」五円が黒い箱をあけ、1000円札10枚を渡す。
「うん。ありがとう」畳んで長財布に収納した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます