第10話

セダムはその日からウィルフに着いて近くで仕事を学んだ。


8歳にしては覚えもよく、ウィルフはセダムをより一層可愛がった。

まるで本当の娘かの様に女の子が好きな流行り物を送ったり、可愛い人形を贈るも、周りからはやはり変わった親子だと笑われた。


執事やメイドからも、ウィルフの贈り物はいつも想定外のものばかりだと驚かれるほど、「普通」の贈り物では無かった。


しかし、父親の愛情を知らなかったセダムからしたら、ウィルフの贈り物は何であれ凄く嬉しいもので大事にしていた。


そして月日は流れ、セダムは15歳になった。



「リジア、急げ。」


「はい!お父様!」


2人は外国から帰ってきた。


今回もお土産だと言わんばかりにたくさんの文化品を買って帰ってきた。


屋敷に戻るとカナとマリアがまたかと顔をしかめながら挨拶をする


「お帰りなさいませ、ウィルフ様、リジアお嬢様、今回もまた沢山の…」


執事達も苦笑いしながら荷物を倉庫に運び始めた。


「私も止めたんだけど、お父様がどうしてもって言うから…」


「仕方ありませんね。さ、長旅でお疲れでしょう、入浴の準備が整っていますのでお湯に浸かってて疲れを癒してください。」


「お風呂はカナとマリアが居るこの家が1番ね。」


「まぁ、ご冗談が上手くなりましたね。」


二人はくすくす笑ってセダムの服を1枚ずつ脱がせる。


「大きくなられましたね、お嬢さま。その辺の同じ歳のご令嬢よりスタイルもかなり良いですし、もう立派なレディーですね。」


「そうね…」


セダムは悩んでいた。

あと3日で16、つまり成人する。

これを機に独り立ちをするべきなのではないかと。


それに…


「ウィル様、いえ、お父様と話さなくちゃ。」


「あら、まだお名前呼びの癖は抜けないですか?」


「そうね、抜けないわね。」


セダムは全身を綺麗に洗ってくれている2人をしばらくじっと見てふと思い立った。


「ねぇカナ、マリア、明日お出かけしない?」


2人は嬉しそうに頷いた。

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森の魔女 橋倉 輝 @kkinko0219

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