第7話

セダムはウィルフの話を聞いてある思いが湧き上がってきた。


それは、


「私も商売をやってみたいです」


ふと、発した言葉にウィルフは待ってましたと言わんばかりにセダムに提案を始めた。


「その話だが、リジア、君が良ければ私の養子にならないか?」


セダムは持っていたティーカップを落としそうになった。


「え?」


「馬車の中でも言ったが、君は頭がよく趣味も私と似ているし、すぐに商売の仕方を覚えられるだろう、何より私は跡継ぎが居ない。だが結婚なんてめんどくさいことをしたくないのでな、君が良ければだが。」


「過大評価ではないでしょうか。」


「そんなことは無い。君は本当に頭がいい、私の話にも着いてこれるのだからな。」


セダムはカップを置いて俯いた。


「…まぁゆっくり考えてくれ、さてそろそろ食事をしに行こうか。」


ウィルフは立ち上がりセダムの肩を軽く叩くと微笑んだ。


セダムも立ち上がりウィフルの後について行く。


食堂に通されたセダムはまたも足を止めた。

目の前の豪華なテーブルと椅子もまた見た事がない彫刻がされており、先程の話を忘れてしまうほどまじまじと見てしまった。


その様子を見ていた使用人も微笑ましくなり笑っていた。


「あ、すみません!」


セダムは急いで椅子に座り料理を待った。


小さく切り分けられた料理たちは、セダムの年齢を考えて料理人が切り分けてくれいたらしい。


「お気遣いありがとうございます。とても美味しいです」


料理長らしい人にお礼を言うと、相手は会釈をして照れていた。


「リジア、今日はもう遅いし泊まっていくだろう?」


「転移魔法が使えるので、食事が終わったら帰るつもりでしたが…」


「なに?そうか、せっかく部屋の装飾品や服なども見て欲しかったのだが…特に浴室の…」


セダムは、その話にぴくぴくと耳がかすかに反応する。


「あ、でも今日魔力を使って疲れてしまったので、やっぱり泊めてもらってもよろしいですか」


「喜んで」


セダムの誘惑に負けた姿に、その場にいた全員はこっそり笑った。


セダムは返事を聞くと、少し食事のスピードが早くなった。


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