第4話

セダムは転移魔法でかつてアメリアとよく来ていた、アメリアの故郷のとある森に来ていた。


そこには小さな小屋が1つ建っており、もう何年も手入れされていないためか、家の周りには長い草が生え、家の壁には苔がむしていた。


かつてアメリアとリハルトが喧嘩した時、アメリアが1人でこっそり泣くために魔法で建てたものだった。


リハルトは当然この場所を知らない。


セダムが小さい頃アメリアは寂しくなると必ずここに来て一緒に眠った。


山菜など魔物狩りも一緒にしたことがある。


魔法の使い方を教えてもらったりもした。


セダムは家に入るとあのころと変わらない家具の位置を見て、微笑んだ。


「まずは、掃除からかな。」


セダムは浄化魔法を部屋の中全体にかけると、外に出て草を一気に切り落とした。


ものの数分で家は綺麗になり、埃をかぶった家具たちも新品のように光っていた。


そのままセダムは食料調達に向かった。


すぐにうさぎと鹿を捕まえ家に帰り、見事なナイフ捌きで肉を解体していく。


「こういうのは、父様に感謝ね」


ナイフや剣の使い方は、小さい頃からリハルトが教えこんでおり、セダムはそれをしっかり身につけていた。勿論、肉の解体法も。


セダムはアメリアが亡くなるまでは剣も魔法も才能に溢れると言われていた。

両親の長所を余すことなく受け継いだとまで言われるほど、頭が良く、魔力は高く、剣を振るえた。

しかし、それはアメリアの死によって少しずつ衰えた。


精神的なショックだった。


早くに母を亡くし、さらに父には見放された、その事実があまり何もショックで、悲しくて、魔法も剣も使おうとする度にあの日の記憶がフラッシュバックし、体が震えそれどころではなくなった。


それを見たリハルトはさらにセダムに関心を無くしてしまった。


今では魔法も剣も克服できたが、リハルトはその事さえ知らない。



肉を焼き終わり皿に切り分けたセダムは、1人で静かな食事を済ませた。



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