第90話 幕間12(調千里)その4


「おっ?良いタイミング。兄貴、女もいる」


「ついてるな、厄介な奴が来る前にさっさと始末するぞ」


 不穏な言葉を並べる男は、二人とも三十代前半くらいで、会話からも分かるように兄弟だろう似た容姿をしている。

 一人は軽装の鎧と黒のローブを羽織り、右手には杖が握られている。左手は失ったのか、邪魔にならないように縛っている。

 もう一人の男は黒い甲冑を身に着けており、業物だと一目で分かる濃い紫色の槍を持っていた。


「なあ、遊んじゃダメか?」


「諦めろ、女は逃げ切ってからだ」


「チッ、もったいねーな。どっちも可愛いのにな」



 物騒な会話を続ける二人を見て、嫌な予感を覚えた元は逃げるように合図を出す。

 二人の纏う雰囲気が、元の危険察知に逃げろと訴えかけて来るのだ。

 合図を見たメンバーは後退る。

 逃げる場所は背後にしかない。


 そして、その動きは二人の男からも丸見えだった。


「おい、どこ行くんだよ。つれないな」


 元は双剣を引き抜き、槍の刺突を既の所で受け止め、双剣が破壊されて弾き飛ばされる。


「がっ!?」


「おお、やるな。プロでもないのに良い反応だ。だが死ね」


 瞬く間に接近され、更に攻撃をされた。

 元は木に叩き付けられた衝撃で、血を吐き出してしまう。


「お兄ちゃん!?」


 槍の男は他を無視して、元に止めを刺そうと凶刃を振るう。しかし、それを受け止める存在がいた。


「やめてもらえませんか、うちの大事な斥候なんですよ」


 風を纏い、長剣で男の槍を受け止めて見せた。

 それが気に入らなかった男は乱暴に力を込めて、東風を退かせる。

 東風は体勢を崩すことなく、元を掴んでパーティメンバーのいる場所まで引くと、男はチッと唾を吐き東風達を睨み付ける。


「手間ぁかけさせんな、お前らの終わりは決定してるんだ」


「交渉しませんか? 荷物は全て渡しますんで。俺達を見逃してほしいんです」


 東風は今の一撃で男達との実力差を感じ取る。

 勝てない。太刀打ちできない。

 槍の男一人を相手にしても、パーティは全滅するだろう。それに、魔法使いらしき男がもう一人控えている。

 絶望的な状況だ。

 逃げ出そうにも、先程の動きを見れば不可能だと悟る。


 東風は焦る気持ちで、願いながら交渉に出た。


「馬鹿か、終わりは決まってるって言ってんだろ」


「無駄に命を奪うのは如何かと思うんですけどね」


「安心しろ。無駄にはなんねーから、大人しく死ね!」


 痺れを切らした男が槍を構える。

 その姿は先程までの攻撃が、遊びであったと理解させられるだけの迫力を持っていた。


「……交渉決裂ですかね?」


「最初からしてねーよ」


 男が動き出そうとする。

 この男が凶刃を振るえば、必ず誰かが死ぬ。

 たからこそ、東風は先制攻撃を仕掛けた。


 会話中に魔力を練り上げており、風属性魔法を発動する。

 強烈な突風を操り、槍の男を吹き飛ばす。更に、後方で見ていた魔法使いの男も巻き込んでの魔法だ。


「逃げろ!!」


 武器を手に持っていたメンバーに呼び掛け、少しでも生き延びるべく逃走を選択した。

 これしかない、生き残るにはこれしかなかった。

 相手はプロ探索者の中でも、実力者なのは間違いない。

 それこそ、40階を突破したような強さだ。


 東風の意を汲んで一斉に走り出す。



 そう、走り出そうとした。



「だから逃がさないって言ってるだろうが」


 だが、イライラした男の声はすぐ近くで聞こえて来る。


 最初に狙われたのは、魔法使いである瑠璃だった。

 パーティの最大火力である魔法使いを警戒しての選択だったのかもしれない。もしかしたら、たまたま近くにいたからなのかもしれない。


 ゆっくりとした動作で、槍が瑠璃を貫かんと迫る。

 瑠璃はその様子を見ている事しか出来なかった。それは、他のメンバーも同じで、絶望の槍が瑠璃を襲うのを見ているしかなかった。


 ただ一人を除いては。


「うおおおーーー!!」


 恋人で婚約者でもある武は、最愛の人を守るために、これまでにない速さで動き、瑠璃と槍の男の間に立ち塞がった。

 タワーシールドを掲げ槍を受け止める。

 間に合ったとそう思った。

 しかし、一瞬の衝撃のあと腹に鋭い痛みが走る。


「グッ!?」


「おお、やるな。だがテメーは終わりだ」


 男は槍を引き抜くと武にそう告げる。

 そして、迫る二人を相手にするため槍を構えた。

 東風と騎士が、武を救わんと男に躍り掛かったのだ。



 槍を受けて膝を突いた武は、不思議に思っていた。

 これまでにも、モンスターからの攻撃で負傷し、重傷を負った事もあった。それでも刺し傷程度で動けなくなるような事はなかった。


 何かがおかしい。


「たけちゃん!? 千里っポーション早く!!」


「はい!」


 その異変に気付いた瑠璃が、介抱しようと千里からポーションを受け取る。そして、急いで武にポーションを飲ませるが、体に力が入っていないかのように、口から溢れて流れ落ちる。


「やめとけ、そいつはもう助からん。 そして、こいつもな」


 その行為は無駄だと男が告げる。

 男は東風と騎士を軽くあしらうと、騎士の腹に槍を突き刺していた。


「どういうこと?」


「どうせ死ぬんだ。聞いても仕方ないだろう?」


「答えなさい!!」


 瑠璃の魔力が怒りに呼応するように高まると、二つの魔法陣を展開する。

 魔法陣は『増加』と『収束』の効果を持つ。

 瑠璃は火と風の魔法スキルを持っている。二種類の魔法を混ぜ合わせ、蒼炎の火球を作り出す。

 あとは魔法陣の効果で威力を増加させ、分散する威力を槍の男に向かって収束させる。


 そのための魔法陣。


 瑠璃は最後に男の顔を見る。

 その顔は相変わらずヘラヘラしており、答える気はなさそうだった。


 もういいと、魔法を放とうと魔力を操る。


 そして、影が刃となって伸ばしていた瑠璃の腕を切り落とした。


「ーえっ?」


 何が起こったのか理解出来なかった瑠璃は、霧散する魔法と落ちた腕を見てようやく事態を理解する。

 腕を押さえて蹲り、突然現れた気配に顔を上げる。


「アキラ、何を遊んでいる。厄介な奴が来ていると言っただろう。早く終わらせろ」


 魔法使いの男だ。

 槍の男、アキラと呼ばれた男の兄である魔法使いだ。


「わーてるって兄貴、せめてどうやって死ぬか教えてやろうと思ってさ」


「下らん事はするな、まだ三人残っているんだ、時間を掛けている暇はないぞ」


「はいはい、あの黒インキャ野郎も殺せばいいと思うけどなぁ」


「馬鹿を言うな、あいつは化け物だ。俺達が束になっても、かすり傷一つ付けられない。戦うだけ無駄だ。 やらないなら俺がやるぞ」


「……分かったよ、直ぐに終わらせる。 おいお前ら、この槍はな猛毒蛇の王バジリスクの槍っつってな、これに傷付けられたら猛毒を受けて数分で死ぬ。 分かったな?」


 男の言葉に、いち早く反応したのは瑠璃だ。

 刺された武を見ると、体の色は青白く変色しブツブツと発疹のようになっている。目と口は閉じる事が出来ないのか開いたままだ。

 まだ辛うじて呼吸音が聞こえる。

 だが、その音は小さく、今にも消えそうだった。


「千里!解毒剤をお願」


 腕を失った痛みを忘れて必死に叫ぶ。

 だが、その言葉は最後まで続く事はなかった。


 黒い刃が瑠璃の首を通過し、落として行ったのだ。


「五月蝿いぞ、女。キンキン叫ばれると頭が痛くなる。 ああ、そうだ。同じ魔法使いとして忠告してやろう、腕を伸ばしての魔法の使用は止めておけ。軌道も読まれ、腕を落とされて俺みたいになるからな」


 魔法使いの言葉は不愉快なBGMとなり、耳を塞ぎたくなる。


 そんな中で切られた瑠璃は転がり、寝ている武を見て止まった。


 帰ったら式場を見に行こうねと、そう伝えたいのに声を発せなくて悲しくなった。


 悲しくて悲しくて、涙が出て、せめて笑いかけようと笑みを浮かべて、泣き笑いで変じゃないかなと思って泣いた。


 武にはもう味覚も視覚も聴覚も触覚も残っていなかった。

 それでも、悲しくて涙が溢れて来る。

 感覚を失って、愛する人を抱きしめられないのかと悲しくて泣いた。


 そんな二人は、互いを思い合いながら息を引き取った。





「ああああーーーー!!!!」


 怒りに任せて剣を振る。

 四年間共に歩んだ仲間が死んだ。

 目の前の男達に殺されたのだ。

 そして友の弟であり、東風の弟子でもある騎士が死の危機に瀕している。

 既に体は動かず、呼吸は弱っており、そう時間も経たずに兄と同じ末路を辿るだろう。

 元が解毒剤を投薬しているが、効いている気配がない。


「どうした! もっと気合い入れろ!」


 男は楽しんでいるのか、槍で突くような事はせず、柄の部分を使い殴打する。東風は正確に受け止め逸らすと、体を回転させ長剣を振るう。

 しかし、アキラからの蹴りが鎧を破壊して、東風を弾き飛ばした。


 飛ばされた先は元のいる場所、千里は仲間の死に放心しており、動ける状態じゃない。

 そして、騎士はもう……。


「元、千里ちゃんを連れて逃げろ」


 小声でそう言うと、元からの返答は聞かずに魔力を高める。


 東風は魔法使いではない。

 瑠璃のように魔法陣は使えないし、高火力の魔法も使えない。

 それでも、自分の使いやすいように接近戦にアレンジしてきた。


 剣に吹いていた風が螺旋を描き、小さな竜巻きへと姿を変える。

 その剣は、触れたモノを切り刻み、粉砕し、粉々にする力を持った東風の必殺の剣だ。

 勿論、これで倒せるとは思ってはいない。

 それでも、二人が逃げる時間を稼げたらそれでよかった。

 少しでも負傷してくれたらそれでよかった。


「神風破砕剣!!」


 東風の必殺の剣をアキラは受け止める選択をする。

 少し離れた所に、魔法使いの男がいるが手を出して来る気配はない。

 ならば好都合と、風の刃を走らせアキラの足を切り裂いた。


「ぐっ!?テメーー!!」


 大したダメージになっていないのは分かっている。少しだけ動きの遅くなればいいのだ。


 そして東風の必殺の剣は振り下ろされる。



 必殺の剣は、アキラを傷付けた。

 風の刃と合わせて大金星と言って良いだろう。

 それでも、その威力の殆どを竜巻きとなって上空へと返されてしまう。

 アキラの命に届くかもしれなかった一撃は、安易と槍で受け止められ、剣はへし折られたのだ。


 更に槍は長剣だけでなく、東風の体も貫いていた。


「がはっ!?」


「最後のは良かったぜ、俺を傷付けたんだ誇っていい。その誇りを持ってあの世に行けるんだ。悪くないだろ?」


「くそ食らえ」


 槍を抜くために投げ捨てられた東風は、地面に転がり立つ事が出来ない。

 猛毒が体に回り、蝕む。

 体の感覚が遠のき、失われていく。

 やがて全ての感覚が無くなるのだろう。

 途端に恐怖が襲って来る。

 そして後悔する。

 探索者を始めた後悔、仲間を巻き込んでしまった後悔、大切な人達を殺してしまった後悔。


 元はどうなっただろう、少しの時間しか稼げなかった。

 千里ちゃんとは逃げれたのか、それだけが心残りだった。


「お兄ちゃん!?」


 朦朧とする意識のなかで千里の声が聞こえた。





 元は東風の指示通りに逃走を開始した。

 東風の必殺の一撃はアキラを傷付け、砂埃を舞い上がらせて視界を塞いでいる。これは絶好の機会だと思っていた。


 呆然としている千里の手を引き、無理矢理走らせる。

 平手打ちでもして正気を取り戻させたいが、その時間すら惜しい。


 逃がさなければ、千里だけでも、俺が誘ったから……。


 その思いを抱えて妹を逃そうと走り出して、足を失った。


 足を失い転倒する元を見て、ようやく正気に戻った千里は元のもとへ近付こうとする。


「来るな!!」


 黒い刃がどこから飛んで来るのかを元は見た。

 影が伸びて来ると、元の影と重なり、そこから刃が発生したのだ。

 そしてその影は、魔法使いの影から伸びていた。


「逃がしはせん。大人しくアキラの糧になれ」


 現れた魔法使いの男の目は、感情を感じさせない無機質なものだった。まるでどこかに感情を置いて来たような、そんな恐ろしさがある。


 だが、その恐怖に囚われる事なく、千里は魔銃を構えると即座に発砲した。立て続けに重低音の乾いた音が鳴り響き、リボルバーに込められた弾を全弾撃ちきる。


「ふん、そんな脆弱な武器を使う者はいらんな。死ね」


 千里が使用した弾は安物ではない。

 キラービーに致命傷を与えられるほどの威力を持ち、対ボス用に準備した物だった。

 その魔弾を杖一本で全て防ぎきると、影を操り千里を葬るための魔法を使おうとしていた。


 だが、体中に糸が巻き付き魔法を中断せざるを得なくなった。

 魔法使いの男は首だけを動かし、糸の先を辿ると足を失った元に行き着いた。



 元は足を失い出血多量で顔色が悪くなっている。

 それでも、諦める事はない。

 妹を救うのだ。

 足を失った程度で止まる覚悟ではない。


「がっあああーーー!!」


 操る糸に魔力を込め、力を込め、思いを込めて魔法使いを切断せんと操作した。

 糸はジャイアントスパイダーの糸を加工して作られた物であり、鉄よりも硬く、魔力を通す事で更に硬度を増す。


 しかし、その糸を以てしても魔法使いの男は微動だにしない。


「悪くない。だがそれだけだな」


 男の影から刃が飛び糸を切断する。

 元の最後の攻撃は、呆気なく終わった。


「くっそーー!!」


 這ってでも千里を助けようと、断末魔にも似た声を発する。

 妹を助けようと、文字通り命を賭けての行動だった。

 だが、無情にも一本の槍が落とされた。


「うるせーよ」


 元の心臓にアキラの槍が突き刺さる。


 吐血する元は、意識が朦朧とするなかで妹の声を聞く。


 すまないと思いながら、助かってくれと願いながら、両親にごめんと呟いて、元は息を引き取った。




 千里の心は絶望で一杯だった。

 何もできない自分に絶望して、仲間の死に絶望して、そして今、兄を殺された。

 

 心が壊れそうになりながら、目の前の男達を見ると、何かを感じている様子はない。

 人殺しを当然のようにやってのける男達に恐怖する。

 

 逃げる事は叶わず、抵抗も許されない。


「こいつで最後か。 じゃあな、運が悪かったと思って諦めろ」


 アキラは千里の命を一撃で終わらせるため槍を構る。

 そして、向きを変更し槍を払い、飛来した風の刃を防いだ。


「……何で動けんだ?」


 アキラは訝しんで尋ねるが、返事はない。


 風の刃を放ったのは、猛毒に体を侵された瀕死の東風。

 本来ならば、動くどころか立つ事も出来ないはずだった。

 それが、魔法まで使って反撃をしてきたのだ。

 何が起こっているのか分からずに、アキラは警戒してしまう。


「ただのこけ脅しだ。こいつはもう動けん、さっさと女をやれ」


 魔法使いの男の助言を聞き、アキラは唾を吐き出す。

 そして千里に改めて向き直ると、無数の風の刃が東風から発せられた。


「なに!?」


 これには男達も想定外だったようで、驚いている。

 しかし、その全てが男達の手によって無力化されていく。


 そして全ての魔力を使い切った東風は、その場に膝を突き、胸に槍が突き刺さる。


「手間ぁかけさせんな」



 魔法を使い続けた東風の意識は、もう無くなりかけていた。

 猛毒をくらい、血を流しすぎた事でもう助かる見込みはなかった。

 それでも、仲間が叫んでいるのに、何もせずに寝ている事は出来ない。何故ならリーダーだからだ。仲間の生死はリーダーの肩に掛かっている。だからこそ足掻くのだ。


 魔力を必死に操り、魔力の続く限り魔法を放ち続けた。

 既に目はぼんやりとしか見えず、音も拾えない。

 体に力は入らず、立てたのが奇跡だった。


 体から流れる血は殆ど残っておらず、意識が遠のいていく。


 助かってくれ。


 そう願いながら、東風の目は光を失った。




 千里は必死に森の中を駆ける。

 仲間を失った。

 パーティの中で唯一生き残り、男達から逃げている。

 一度は立ち向かったが、何も出来ずに恐怖に身を縮こまらせることしか出来なかった。

 魔銃を使い抵抗を試みるが、何の効果もない。

 東風が助けてくれなければ、千里も逃げ出すことは出来なかっただろう。


 後方を見ると追って来ている様子はない。

 諦めたのかもしれない。


「諦めろ」


 そんな淡い期待は打ち砕かれる。

 千里の進む先にはアキラが立っており、背後を見れば魔法使いの男がいた。


「逃げんじゃねーよ。仲間死んでんのに、テメーだけ助かりたいってか、意地汚い奴だな」


 お前がっ!

 一瞬の激昂が恐怖を抑えて、魔銃を構えさせる。

 そして新たに込めていた弾を全弾撃ち尽くすが、まるで当たり前のように槍で弾かれ、落とされてしまう。


「そんな見え見えの軌道で当たるかよ」


 槍が突き刺さる。

 千里の目ではアキラの動きを認識することはできず、何の反応もできずに腹を貫かれた。


 口から血が零れ出す。


 アキラのヘラヘラとした顔は、まるで人を貫いた感触を楽しんでいるようだ。


 そんな顔が千里の近くに寄っている。


 その顔は嫌いだなと思い、魔銃に発生させた刃がアキラを貫いた。


「ーガッ!?」


 想定外の痛みにアキラは槍を引き抜き、千里から距離を取る。

 そして、何をされたのか理解すると激昂した。


「貴様ーーッ!!」


 弱者としか見ていなかった千里に傷付けられて、アキラは怒り狂う。

 必ず殺すとそう誓い、傷も気にせず槍を構えると、辛うじて立っている千里を殺さんと迫った。


 

 確実に命を奪う槍を目の前にして、千里は諦めていた。

 もう助からない。

 槍を受けた以上、猛毒が体に回り死んでしまう。

 槍で貫かれて死ぬか、毒で死ぬかの違いでしかない。


 一矢報いたと言って、皆に報告しようと目を閉じた。




 そして、



「貴様ら何やってんだ」


 朦朧とする意識のなかで、その声を聞いた。





ーーー


東風 要(23)

レベル 20

《スキル》

剣技 風属性魔法


ーーー


浅野 武(23)

レベル 19

《スキル》

剛腕 鉄壁


ーーー


浅野 騎士(20)

レベル 17

《スキル》

体幹 看破


ーーー


二条 瑠璃(23)

レベル 20

《スキル》

火属性魔法 風属性魔法


ーーー


調 元(23)

レベル 19

《スキル》

危険察知 糸操作


ーーー


調 千里(20)

レベル 17

《スキル》

鑑定 鷹の目


ーーー

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