第36話 三十五日目
履歴書を送っていた企業から返信が来ている。
そして、当然の如く不採用通知だ。
そろそろ、面接までは持って行きたい。
俺は再び履歴書の作成に取り掛かる。そこでふと気まぐれに、趣味はダンジョン探索と記入してしまった。
乱暴者という印象を与えかねないが、まあいいかと記入を続ける。手慣れたものであっという間に履歴書の作成は終わり、次に受けようと思っていた企業の送り先を調べて封筒に入れる。
そして、受かりますようにと願って発送するのだった。
明日から明後日にかけて、ダンジョン20階まで攻略する。
地図を手に入れたのもあり、前回のようにイレギュラーなモンスターと遭遇しなければ、辿り着くのは難しくないはずだ。
そして、明日からの探索の準備に買い出しに来ている。
食料と水を買い込み、武器屋でヘルメットを新たに購入する。頭部の装備に兜かヘルメットか迷ったが、顔も守れるフェイスシールド付きのヘルメットが良さそうに見えたので、こちらを購入した。
あと、これは準備とは関係ないが、布と糸も購入した。
これは、前回の探索で新たに手に入れたスキル、裁縫を試すための物だ。
正直、こんなスキル持っていても仕方ないと思ってはいるが、あるなら試したいと思うのも仕方ないだろう。
今日はダンジョン探索は休みにして…。
ダンジョン11階に来ている。
少しだけ。
少しだけ採掘して帰るつもりだ。
壁に手を当ててトレースして、地属性魔法で鉄鉱石と魔鉱石の採掘をして収納空間に入れていく。
また移動して、採掘して行く。
それを何度か繰り返していると、また空洞を見つけた。
そこまでの穴を開けて中をライトで照らすと、また同じように蛹があった。昨日はなんだか気持ち悪くて、地属性魔法で厳重に固めながら封印したが、これは一体なんだろうか。
少しだけ切って中身を見てみる。
中にはビックアントのような形をしたものが入っており、お腹のところが異様に大きく発達していた。
もしかしたらこれは、女王蟻になる個体ではないだろうか。そうだとしたら、また蜜を取れるチャンスがあるかもしれない。
直ぐにではなくても、女王蟻の蜜が手に入る可能性があると思うと涎が口から溢れてしまう。
俺は蛹に治癒魔法をかけると、穴を塞ぎながらその場を後にした。
家に帰ると、裁縫スキルを試してみる。
初めての生産系スキルということもあり、期待して使用したが、裁縫に対する知識が小学生レベルの俺では上手くいかなかった。
スキルとは元々補助のようなものだ。
使い熟すには練習がいる。
俺はこれから、暇つぶしに練習しようと決めた。
ーーー
田中 ハルト(24)
レベル 15
《スキル》
地属性魔法 トレース 治癒魔法 空間把握 頑丈 魔力操作 身体強化 毒耐性 収納空間 見切り 並列思考 裁縫
《装備》
俊敏の腕輪 不屈の大剣 神鳥の靴
《状態》
デブ(各能力増強)
ーーー
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