第33話 三十一日目
朝起きると昼になっていた。
スマホを見ると、また愛さんから着信が入っていたが、一体何の用だろうか。前に会った時に、問題は全部解決したはずだ。
どうしたのだろうと、スマホを手に取り操作する。
そして、俺は愛さんの電話番号を着信拒否に登録した。
さて、一昨日から昨日に掛けて行ったダンジョン探索だが、探索の進捗状況は上々と言って良いだろう。
途中で盗賊に襲われるトラブルはあったが、無事に帰ることが出来た。
ダンジョンで得た物を売却すると、収支はプラスだったので今回の探索は収入面から見ても成功と言える。
それと盗賊から狙われた不屈の大剣だが、改めて鑑定をしてもらった。以前はお金も無かったので、名前だけ教えてもらって帰ったが、今回はその能力も調べてもらった。
ーーー
不屈の大剣
ダンジョン34階で宝箱より産出された魔剣。
持ち主の精神に呼応して能力は強化、弱体化される。耐久値、攻撃力は持ち主によって変動。魔力を流すと剣閃を飛ばすことが出来る。
攻撃力 32(変動)
耐久値 89(変動)
買取価格 千五百万円
ーーー
一応、基本となる鉄の剣のステータスが次のようになっている。
ーーー
鉄の剣
町工房で打たれた普通の鉄の剣。
攻撃力 10
耐久値 30
価格 十万円
ーーー
思った以上に不屈の大剣は優秀だった。
知らなかった能力も判明したので、鑑定料金十万円を払った価値はある。
この能力を知っていれば、盗賊でなくても狙って来るんじゃないだろうか。更に言うと、もっと価値のある神鳥の靴も持っているので、夜道を歩くのが怖くなってしまった。
どうしよう、セ○ムを頼むか?
大型の金庫でも買って入れておこうかな?
どこか隠せる所が……収納空間があったな。
セキュリティに問題無かった。
貴重品は全部、収納空間に入れておこう。
どうせ自分しか使わないのだから。
俺は財布やら通帳、身分証も収納空間に入れて行った。
ダンジョン10階
早速、不屈の大剣の能力を試してみようとダンジョンに来ている。
流石に今日は深く潜る気はないので、ポータルから引き返して10階のモンスター相手に練習するつもりだ。
早速、ゴブリンが三体現れる。
不屈の大剣に少量の魔力を流していき、魔力の通りを確認する。どのくらい流せば良いのか分からないので、最初は土の弾丸くらいの魔力を流す。
そして、ゴブリンに向かって刃を飛ばすイメージで大剣を振り抜く。
すると剣閃が飛び出し、ゴブリンにたどり着く前に消滅した。
ん?
飛距離は大体1mだった。
流す魔力が足りなかったのだろう、今度は更に魔力を込めるとしよう。
俺は襲って来たゴブリンを切り捨て、次の標的を探す。
次は痺れ蛾とゴブリンの混成である。
相変わらず、痺れ蛾はゴブリンを戦闘不能にするという絶妙に良い仕事をしてくれている。
また不屈の大剣に魔力を流し込む。今度は弾丸の十倍の量を込めて行く。そして、一気に剣を振り抜き剣閃を飛ばす。
今度はしっかりと飛び、5m先にいる痺れ蛾を切り裂いて霧散した。
…ふむ。
はっきり言って期待はずれではある。
剣閃を飛ばすくらいなら魔法を使った方が効率が良い。魔力的にも発動時間においても魔法の方が優秀である。
もしかしたら、この能力は魔法が使えない人用の物なのではないだろうか。
大剣なんて、重戦士などのバリバリの前衛職の人が持つ武器だ。俺のように、魔法を使う人を想定したものではないのだろう。
うむ。この能力は、俺が持っている限り死蔵だな。
今日の実験結果に満足して、俺はダンジョンを後にした。
ーーー
田中 ハルト(24)
レベル 14
《スキル》
地属性魔法 トレース 治癒魔法 空間把握 頑丈 魔力操作 身体強化 毒耐性 収納空間 見切り 並列思考
《装備》
俊敏の腕輪 不屈の大剣 神鳥の靴
《状態》
デブ(各能力増強)
ーーー
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます