第5話 五日目

 ダンジョン三階に来ている。

 ここに出現するモンスターはツノ兎とスライムだ。


 ツノ兎は二階にいたのと同じで、強くなっていたり弱くなっていたりとかはない。

 スライムとはあのザコモンスターで有名なスライムだ。

 はっきり言って弱い。

 ツノ兎より弱い。

 スライムの中心にある核を潰せば簡単に倒せる。

 スライムで売れる物は倒した跡に残るスライム玉だけだ。因みに値段は100円でツノ兎と一緒だ。


 動きも遅く攻撃力も無いスライムだが、油断ならない点が一つだけある。


 それはスライムの体内は酸性だという事だ。

 それほど強い酸性ではないが、酸性対策をしていない武器で倒すと、だんだん劣化していき使い物にならなくなる。


 ほら、この棍棒のように。


 六匹のスライムを倒しただけでボロボロになっている。

 三千円の棍棒で600円しか手に入らない、大赤字である。


 一度、ダンジョンを出て大型量販店に入っている武器屋に向かう。

 どれが良いかなと見ていると、酸性対策にメッキを施した武器はどれも十万円を超えている。高すぎて買えないや。

 いろんな種類の武器があるが、特に剣が多い。


 剣か、憧れるなぁ。


 俺は剣を振った事がない、というか探索者になるまで武器という物を持ったことがない。棍棒だって、この前初めて触ったくらいだ。日常生活を送る上で、武器を持つ必要なんてないから当然だがな。


 試しに剣を持ってみる。

 ずっしりと重たい感触が手に伝わる。


 その時、ピリッとした感覚が体を駆け抜け、脳内にこの剣の情報が流れて来る。


 何だこれ、と思いレジ横でステータスチェックをしてみるとトレースなるスキルが生えていた。


 このスキル何の役に立つんだ?


 もっと使えるスキル寄越せよと思いながら、棍棒を三本買った。



 ダンジョン三階に戻ると、スライムとの戦闘は極力避けて進んで行く。


 やがて4階に続く階段を見つけた。


 そして当たり前のように百を超えるスライムの群れがいた。


 俺は諦めて帰宅した。



ーーー


田中 ハルト(24)

レベル 4

スキル 地属性魔法 トレース


ーーー

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