第22話配信終了後の夜

先輩と合流してリリアン商会を後にした僕たちは配信の終わりの挨拶をしていた。ボスを倒したりなど何だかんだで配信を開始してから既に結構な時間が過ぎていた。



「そろそろ今日の配信は終わりにしようと思う」


「そうですね。何だかんだ時間経ってますし」


{もうこんな時間!?}


{今日の配信濃すぎて時間経つの早いw}


{正直まだまだ見たい}


{↑分かる}



コメント欄でも終わりを惜しむ声がちょくちょくあるし、始まりこそあれだったが僕の配信デビューとしては十分成功と言っても良いレベルではなかろうか。今まで女性一人だったチャンネルに急に男が出演したためもっと批判などが来ると思っていたが思ったより順調で何よりだ。


「それじゃあ、初配信だったネージュから何か一言」


「あ、はい。えー、今回から配信に出させてもらって想像以上に皆さんが暖かく受け入れて下さったお陰でとても楽しかったです。これからも頑張って行きますので次回も配信を見に来てくれると嬉しいです。本当にありがとうございました」


{こっちこそ楽しかったよー}


{次回も絶対来るわ}


「ん、それじゃ配信切るね」


シエルさんが配信を切る。


「それじゃあログアウトしよっか」


「ですね、お疲れ様です」


「ん、」







 

配信を閉じてゲームからログアウトすると、自分の部屋に戻るとすぐ横に先輩がいて、びっくりしてしまう。そうか、同じ部屋でダイブしてたんだった。


「先輩、もういい時間ですけど夕飯どうしますか?」


そこそこ長い時間配信をしていたのでもう時刻は20:00を回っていた。


「冬雪が作ってくれるのならなんでもいい」


「あー、やっぱり一緒に食べるんですね。冷蔵庫何があったかなー」


引越しするときに先輩が無理矢理買った一人暮らしにしては少し大きすぎる冷蔵庫の中を確認する。てか、先輩俺の料理を日常的に食べるために絶対この冷蔵庫買っただろ。


「オムライスと生姜焼きどっちがいいですか?」


「オムライス。愛のメッセージ付きで」


ノータイムで返してくる先輩に、オムライスを選択肢に挙げなきゃよかったと軽く後悔しながら希望に応えるために料理を始める。



すると、後ろから先輩が僕の体を触ってくる。しばらくは無視していたがだんだんと際どいところに触れてくるのでついに我慢できずに文句を言う。


「先輩? 何してくれてるんですか?」


「何って、冬雪の体触ってるだけだけど?」


当然の顔をしてそう返す先輩。


「だからなんで触ってるのかってことを聞いてるんですよ」


「いやー、なんか料理してる冬雪の後ろ姿、ちょっとエッチだなと思ったから」


変態親父みたいなことを言う先輩。


「変態ですか、あんたは。何でもいいですけど包丁使ってる時は危ないんでやめてくださいね」


「ん、分かってる。後、冬雪、平然とした風を装ってるけど耳が真っ赤なの後ろから見えてるよ」


恥ずかしくて照れているのを誤魔化していたのだが先輩に呆気なく見破られてしまう。


「//もういいんでリビングで待っててください。できたら持って行くんで!」


「はーい」


これ以上からかわれるとたまらないのでキッチンから先輩を追い出す。そこから10分ほどでオムライスが完成し、先輩のところに持って行く。


「美味しそう。でも冬雪、なんか足りないよね?」


ニヤニヤした顔でケチャップを渡してくる先輩。


「ぐっ! わかってますよ。書けばいいんでしょ、書けば!」


恥ずかしさに死にそうになりながら、卵の上にメッセージを書いていく。


恥ずかしさのあまり手が震えるがなんとか描き終える。


「はい、これでいいですよね」


「ん、それじゃ冬雪それ読んで」


「え、読まなきゃダメですか?そんなこと最初言ってなかったじゃないですか」


これ以上の羞恥を受けたくないので抗議をするが、


「いいから、早く」


先輩はとりつく島もない。


「うー、わかりましたよ。一回だけですからね?…先輩、愛してます//」


羞恥に耐えてなんとか読み上げると、先輩の動きが止まる。どうかしたのかなと声をかけようとすると、先輩が急に迫ってきて耳元で、


「オムライスも美味しそうだけど、冬雪も食べたくなっちゃったから、今晩食べていいよね?」


と、囁いてくる。


「っ! 何言ってるんですか!」


「そんなに騒ぐことじゃなくない? 私たちの年頃のカップルなら当然そういうこともするでしょ」


「それは…、そうかもしれませんけど。でも僕たちは今日付き合ったばかりですよ!」


「でも私は高校の時から好きだったし、冬雪もそうでしょ? ならもう良くない? それに」


そう言った後再び僕の耳に口を寄せ、


「それに、冬雪に拒否権はないから」


と、いつもより少し低い声で囁かれる。それを聞いて固まってしまった僕を笑いながら、


「ま、その前にこのオムライスを食べよっか」


そう言って固まる僕を置いて先にオムライスを食べ始めのだった。




その後、しっかり先輩に食べられました。まあ、その、感想としてとっても良かったです//。




















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