第60話 脚注②三界一の天狗・後白河
この後白河が覇者となった平清盛始め→木曽義仲→源義経→源頼朝に至るまで己が意のままに操ったとされる面を捉えて、その頼朝から、また世間からも「三界一の天狗」と評されるに至ったのでしょう。またこのことのみならず、保元の乱のあとで遠流されてもはや無害となった崇徳天皇を、刺客を向けて葬ったのがもし後白河であったとするならば、これはもうちょっと度が超えていると云うものです。みずからの幼少時には年の離れた弟として可愛がってもらった(実兄である)その崇徳を…した分けですから。まさに「三界一の天狗」の面目躍如と云え、これに皇位を奪われた挙句に亡き者にまでされた崇徳の、その怨霊伝説化は実に無理からぬことではありましょう。
さてしかし、これら歴史に記された、あるいは人々に語り継がれた事どもをそのまま鵜呑みにするというのもどうかと思われます。なぜなら「歴史は勝者がつくる」のであり「勝者にとって都合の悪いことは隠す、あるいは形を変えてしまう」という厳然とした事実があるからです。例えばはるか時代の下った大塩平八郎の乱にしたって、そのような乱に至らしめた往時幕府による人民への圧政があったからとも指摘されています。このように史実とか、今における新聞報道とかは多分にカナールとカナルディエなのであり、勝者が作り上げたそれであるということは否定すべくもありません。
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