第3話
ボクは殺される前に無人島を
脱出しようと試みた。
しかし、ヤクザたちの警備は
思った以上に厳しく凄まじく
縦横無尽に張られた有刺鉄線は容易に
ボクの脱出をゆるしはしなかった。
ボクは日が落ちて真夜中になるのを待って
ペンチを持ち出し、有刺鉄線を一本一本
切断しにかかった。
それは気の遠くなるような作業だった。
そしてやっと有刺鉄線を切り終えて、
ゴムボートに乗りオールを漕ぎ出したとき、
サーチライトが一斉に輝いた。
「そこまで、戻ってこい」
タカシの鋭い声がした。
ボクは震えながらタカシの前に正座した。
「どうなるかわかってるんだろうな?」
「えへへ、すいません、兄貴、ちょつとした
出来心で」
「責任はオマエのチン●にとってもらおうか」
「へっ、それはいかように?」
「ピラニアたちにオマエのチン●を咬みちぎってもらうって
趣向はいかがかな」
「ごっ、ご冗談を。それだけはご勘弁を」
「それじゃあ首をへし折る」
「そんな、爪楊枝をポキンと折るみたいに」
「まあ、いい、チサトに聴いてみるか」
「そうしてください、妻ならきっと
オレを助けてくれるでしょうから」
チサトがやってきた。
「死ね」
チサトはそれだけ冷たく言い残すと、
闇に消えた。
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