逃げろ!!
「「「グオオオオオオォォォォォォォ!!」」」
「みんな逃げろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
気づかれた!!咄嗟に逃げろと言ったが、どっちに逃げる!?前からも後ろからも
「そのまま進みますっ!!」
「━━━ッ!?分かった!」
すぐさまアリミナを背負ったセバスがそのまま真っ直ぐ走り出す。
一瞬戸惑ったが、俺もすぐさまセレクタを背負って走り出す。
前から走ってくる個体は3匹。どうする?『
を使うか・・・?
「まだその時ではありません!ここは私がっ!」
俺の迷いを察したかのようにすぐにセバスが肩越しに声をあげる。
前回追われていた時は両肩にアリミナとセレクタを乗せており、手が自由に使えなかったセバスだが今回は俺がセレクタを背負っている事によって右手が空いている。
その手をおもむろに懐に突っ込むとその手には3本のナイフがそれぞれ指の間に挟まれており、シュッ!と手を横に振ると同時に全てが投げられた。
「「「ギャオオオオォォォォォオ!!」」」
ナイフは綺麗な軌跡を描きながら飛んでいくと、それぞれ
「今ですっ!」
「ああ!━━━ってうわぁぁ!」
目を抑えながら地団駄を踏む3匹の単眼鬼達の足元を走って通り過ぎるセバス。俺はドシン!!ドシン!!と間近で振り下ろされる足を怖がりつつもなんとか着いていく。
そうして包囲網を抜けた俺たちは前へ全力で走る。が、ここで致命的な問題が判明する。
必死に走るが、後ろからの足音がだんだん近くなっている。
元の世界では決して遅い方ではなかった。寧ろクラスの中でも上から数えた方が早い部類だったはずだ。更に1ヶ月の特訓を経て体力はかなりついたと思う。
だがしかし、あり得ない体躯で一歩進む事に一気に距離を詰める
本当にこの世界のヤツらはどうなってるんだ!?
包囲網を突っ切り、少しは余裕のあったはずの単眼鬼との距離もだんだんと無くなっていく。
そして足の速い1匹が俺に追いつきその手を伸ばす・・・が少し前を走るセバスがシュッとナイフを投擲するとその直後、ギャオオ!!と後ろで大きな叫び声がこだました。助かった!
しかし喜んだのも束の間、すぐに何体もの
「『
予め皮袋から出していた最終手段を頭上高くに放り投げる。
カッ!!と後ろから強い光が走ったと思うと、大きな悲鳴の合唱が聞こえてきた。
「「「ギャオオォォォォォォォォオオ!!!」」」
ひとまず距離は空いた。だがしかしもう『奥の手』は無い。これ以上同じ手は使えない。
後ろから聞こえる悲鳴を背に走っていると、セバスが急に足を止めた。
「どっ、どうした?」
困惑しながら疑問を口にするが、返答はない。
後ろからの絶叫はまだ続いている。今のうちに逃げないと!!
そう言おうとした瞬間、俺にも彼が止まった理由が理解できてしまった。
ドドドドドドドドドドドドドッ━━━━!!!
「「「グオオオオオオォォォォォォォ!!」」」
「なんで・・・」
なんで、もう一つの、群れが。そう言おうとした。
しかし恐怖と絶望で、それより先の声は出なかった。
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