第3話

「ヒロムが死んだ⁈」

わたしは教室で放課後

持っていた花瓶を床に落とした。

ガシャーンという

この世の中すべてが壊れたような音がした。

「そう、銀貨、落ち着いて聴いてね。

ヒロム、今朝通学中の園児を助けようとして

トラックにはねられたの」

親友の沙羅が銀貨の肩を

抱きながら諭すようにそっと言った。

「じょ、冗談言わないでよ。ヒロム

昨日はあんなに元気で」

「ウソじゃないの、銀貨」

沙羅が銀貨の目をしっかりと見つめた。

「ウッ、ウッ、ウッ」

銀貨が沙羅の胸に顔をうずめて泣いた。


「これヒロムが残してくれた

貝殻のブローチ」

沙羅が銀貨に貝殻のブローチを手渡した。

「ヒロム」

銀貨がブローチをギュっと握り締めた。

「わたしのお腹にね」

「うん?」

「ヒロムの赤ちゃんがいるみたいなの」

「でかした、銀貨」

沙羅が銀貨を抱きしめて持ち上げた。

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