第2話 ゲーム制作はじめました?
私は夢を見た…
・・・
いつもの部屋。だけど今よりもっと汚く
ゴミだか何だかわからないものが積み上がり
もはやごみ屋敷状態
その中で一人うずくまる白髪の…私???
お腹が減って、喉が渇いて、微動だにできない…
金縛りというやつだろうか?
というか、これヤバいやつ?
このまま死んじゃうの?
どうしてこうなった???
ダンナはどこ?
どうなっちゃうの私?!
そんな焦りを感じ始めた時どこからともなく声がした
-・・・せよ-
???
何を言っているか解らない。
もう一回言って?何て?
-・・・そうぞうせよ-
はえ?何を想像しろって?
てかあーた誰よ!
もっとハッキリ言わんかい!
-思うがまま世界を創造せよ-
今度ははっきりおっさんの声でそう聞こえた。
あ、そうぞうって創る方のね!
って、この状況で創造しろって言われてもねぇ…
あれ?もしかして、これ異世界転生フラグ?
ねぇ、私死ぬの?死んだの?死んじゃうの!?
やだやだやだやだやだやだやだあああああ!!!!!!
まだVLiverとして万垢にもなってないんだよ!?
まあ異世界転生もので死ぬなんて突然でこんなもんなのか?
いやいやいや無いだろ。リアルに無いだろ。
う…お腹痛い…苦しい…し…ぬ…
うっ…チーーーン
苦節40年…恋人居ない歴=年齢
親は幼い頃に離婚、祖父母に引き取られ田舎で過ごした。
極度の人見知りで友達も作れず、一人遊びしていた。
アニメとゲームが友達の典型的なオタクだった。
才能に恵まれず、人見知りで就職もできず
祖父母を亡くしてからは完全に孤独の身。
残してくれた僅かな遺産で今のアパートに引っ越し今に至る。
終わりはこんなものか…
わが人生悔いしかなかったわ!
異世界転生したらいいことあるかな?
それだけが希望だ!
さあ、神でもなんでも出てこい!
絶対無理レベルの願いかなえて貰うからな!!!!
・・・
久里恵「かなへてもらふからなあああああ」
チュンチュン…チュンチュン…
ッケコッコー!!
爽やかな朝のサウンドが聞こえる。
私生きてる?
そっと目を開けて見る。
窓からうっすら差し込む朝日が眩しい。
そしてもっふもふな尻尾が見えた。
ダンナがお腹の上でスヤスヤと気持ちよさそうに寝ている。
夢の中の空腹の原因はコレかあああああ!!!
久里恵「ダンナ…重い…うんしょっと…」
私はダンナをもふもふなでなですると優しく脇へ降ろした。
それでも熟睡し続けるダンナの寝顔を見て萌えた。
しかし、また嫌な夢を見てしまったものだ…
スクッ ヒョイヒョイッ ジャーーー
私は体を起こし、キッチンに向かうとグラスに水を注いだ
クチュクチュペーガラガラガラペー
グビッグビッグビッ…
久里恵「ぷっはあああああああああ!!!」
水が体に染み渡り生きていることを再認識した。
久里恵「生きてたよぉぉぉよがっだあああああ(泣)」
しかし妙な夢を見たものである。
しかもいつになくはっきり覚えているから始末が悪い。
久里恵「う~ん…あれは予知夢なのだろうか???」
それにしては変なおっさんの声聞こえたしなぁ
あれが神様の声だなんてことある?
無い無い!無いわぁ…無いよね?
頭が覚醒してきて夢の内容を思い出すと
だんだん不安になってきた。
考えてみれば確かにこのまま一生VLiverでいいのかと。
ゲーム実況も最初は楽しすぎて夢中になってたけど
最近は作業になってる感で正直モチベーションだだ下がりだったし
そもそも続けられるのかと。
私このままで本当にいいのだろうか???
何か…何か私にもできる事ないだろうか。
ダンナ「ナァァァン」
スリスリスリ
そんな事を腕を組んで仁王立ちで考えにふけっていたら
ダンナが朝食を要求してきた
久里恵「はいはい~ご飯だね!今作るからね~」
私はいつもの朝ごはん用カリカリキャットフードを
ダンナの食器によそうとしゃがんで前に置いた。
久里恵「あんたは私がご飯作ってあげないと食べれないもんね~」
ん???作る…
ふと、おっさんの声が頭を過る
~思うがまま世界を創造せよ~
ふむ…創造かぁ。
世界を創造するって神様かよ…
あれ?ゲームって人が作ってるんだよな?
超大作ゲーム作ってる人たちを”神”ってよく思ってたなぁ
つまりゲーム制作者って神じゃね???
でも、ゲームってどうやって作るんだろう?
やっぱりプログラミングとかだよね…
もちろん私にそんな能力は無い。
久里恵「よし!AIに聞いてみよう!!」
思い立ったら即行動がモットーの私。
すぐにパソコンの電源を入れ、ネットAIに接続した。
画面には可愛らしい丸っこいタヌキの様なキャラが表示されている。
今回は音声モードで質問する事にした。
AIボット「ようこそ久里恵様。ご用件は何でしょうか?」
久里恵「えーと…ゲーム制作の仕方について教えてもらえる?」
AIボット「かしこまりました。項目が多岐に渡るため画面に表示します。」
ズラズラと文字や画像が表示されていく。
AIボット「以上がゲーム制作方法の概要になります。」
久里恵「ありがとう。ちょっと読んでみるね!」
AIボット「お役に立てれば光栄です。ご質問があればお気軽にどうぞ。」
そう言うと私は表示された内容を食い入るように読んだ。
大別するとこういうことらしい…
1.ゲームエンジンを使用する
2.プログラミング言語を使用する
3.ゲーム開発ツールを使用する
4.ノーコード/ローコードプラットフォーム
5.ブラウザベースのゲーム開発
6.モバイルゲーム開発プラットフォーム
う~ん、この中だと私にもできそうなのは1と4だろうか?
でも1のゲームエンジンの方も、何だかんだ大変そうである。
となると4のノーコード/ローコードプラットフォームかなぁ
久里恵「ノーコードで作られた作品ってどんなのがあるの?」
AIボット「以下にノーコードで作られたゲーム作品の動画を紹介します。」
いくつかの動画のサムネイルが表示された。
久里恵「ありがとう。見てみるね!」
AIボット「お役に立てれば光栄です。他にもご質問があればお気軽にどうぞ。」
一通り動画を見た感じノーコードとそうでないものとの違いが判らないレベルだった
もちろん作り方を覚えるのは大変だろうけどプログラミングを一から覚えてから
っていうよりはハードルが大分低いのではないだろうか?
久里恵「ノーコードでの作り方を教わる事はできる?できれば学校とかでなくお家で…なんだけど…しかも無料で…」
AIボット「はい、可能です。AIアドバイザーによる無料講習が受けられます。」
久里恵「あんの!?言ってみるもんだね~」
AIボット「ノーコードプラットフォームの無料講習を実施しているものは以下になります。」
久里恵「結構あるねぇ…どれがいいのかな?さっぱり解らん。」
AIボット「どの様なゲームを作られますか?」
久里恵「え?どの様な…かぁ…まだ何も考えてないや。アハハ。」
AIボット「それでは作りたいゲームの種類や世界観などから考えてみては如何でしょうか。」
久里恵「そうねぇ…いきなりRPGとか無理だろうし、実況でプレイしているようなFPSってのもなぁ…箱庭的なのってどうかな?作れるの?」
AIボット「箱庭ゲームですね。素晴らしいと思います。チュートリアルとしても作りやすいですね。」
久里恵「そっか!じゃあ箱庭ゲーム作れるやつで!世界観は異世界っぽいのがいいかな~」
AIボット「該当するノーコードプラットフォームを検索します…該当なし」
久里恵「ありゃ…無いのかぁ…」
ジジ…ジ…ジジ…
僅かに画面が歪みノイズが聞こえた。
久里恵「あれ?どうした?大丈夫??回線落ちたか?」
AIボット「ガガガ…該当…該当あり。」
久里恵「んえ?バグった???あ、でもあったんだ!よかった~!!」
AIボット「表示されたリンクより利用登録と開発ソフトウェアをダウンロード頂けます。」
久里恵「え~っと、ここをこうしてっと…」
私は画面に表示されるまま登録をし、ソフトウェアのダウンロードとインストールを済ませた。
AIボット「ゲーム制作に関するアドバイスはインストールされたソフトウェアに付属のAIボットが行います。久里恵様が素晴らしいゲームクリエイターにな…ナ…ナナナ」
ジ…ジジジ…ブツン
AIボットソフトは強制終了した。
久里恵「えー!?ホントにどうした!!まあ、最後まで案内してくれたからいいけど…パソコン調子悪いのかなぁ…配信で酷使し過ぎたかあ???」
私はあくまでパソコンの調子が悪いのだと考え思考停止した。
つづく
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