第2話
「黒白反転」
アイリスが先ほどとは比にならないほどの強大な魔力が籠った球をいくつも生成する。
「GYUAAAOOOOOO!」
それを脅威と認めたのか、魔王が叫ぶ。
そして、ボトボトと自分の体から赤黒い塊を落とす。
それらは地面に落ちると、人形となって俺たちに向かってくる。
「焼き尽くす!」
サンがそう叫び、巨大な火球を出現させ、それを人型の魔物に向かって放つ。
しかし、それに反応せず、こちらへとただ向かってくる。
「なっ!?」
サンは驚いた様子で身を硬直させる。
果たして、大きな火球は魔物に衝突するも、魔物はそれに平然と耐えて見せた。
と、リインという小さな鐘のような音が響く。そして、気がつけば魔物の首が落ちていた。
「こいつらは魔法に耐性がある……俺みたいな物理屋が切るしかねえよ」
と、アラタ。
そうこうしている間にも、ボタボタと次々に赤黒い塊が次から次へと降ってきている。
「お前もそこそこ刀は使えるんだ……手伝え」
アラタはそういうと次々に魔物を斬り裂いていく。
「あの……私は何をしたら?」
と、アリステル。
「えーっと……」
残念だが、アリステルの能力を活用する方法はすぐには思いつかなかった。
「超結界術発動」
俺は聖女が使っていた超結界術でもってアリステルの周りを囲む結界を展開する。
「ここで待っておいてください」
「わ、わかりました」
多少居心地は悪そうだが、勘弁してもらおう。
俺は結界を閉じて、魔物の処理をしながら魔王とアイリスたちの戦いを眺める。
アイリスを、『勇者』『聖女』『守護者』『賢者』『呪術師』、そしてサンが支援することで戦況はかなり優位に進んでいる。
アイリスの超火力が、魔王の体をどんどんと削っていっている。
アイリスに任せておけば安心そうだ……俺が安心したのも束の間。
「聖剣召喚!」
「あ、馬鹿!」
それまで魔王に魔法で攻撃をしていた『勇者』が、突如聖剣を召喚して魔王に突撃していく。
プライドか、名声か、自己顕示欲か……理由はわからない。
なんにせよ、『勇者』の行動の対価は、己の命だった。
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