第4話
とはいえ、俺たちは俺たちの目的を果たすまでである。
俺たちはメイドのタリヤに連れられ、王女の中にある図書館へとやってきていた。
図書館には古今東西の様々な本が収められていた。
この王国の歴史がまざまざと感じられた。
リアは目を輝かせて、早速本棚を物色して本を抜き出していっている。俺も正直同じようにしたいところだが、タリヤが何か話したそうにしているので俺は向き直る。
「何か話があるのでは?」
「はい。皆様の詳しい待遇についてです」
そういえば、客兵になるかわりに図書館へ入らせてもらう、という約束を交わしただけで、具体的なことは何も聞いていない。
「まず、生活はこの王城でしていただきます。基本的に外出は控えるようにお願い致します……おそらく不快な思いをされると思いますので」
「……なるほど」
「客兵の皆様には、いざというときにいつでも戦闘が行える……もしくは、王女を連れ出して逃げていただきたいのです」
いざというとき……つまり、革命が起こってしまった時のことだ。
王女を連れて逃げろ、というのはつまり、王族の血統を途絶えないようにしろということだろう。
「私の部下を一人つけますので、住む場所その他についてはその者に一任します。では、失礼いたします」
タリヤはメイドとは思えないほどの美しいカーテシーを決めると、図書館から出て行った。
「さて……」
「どうしますか?」
「まずは禁書庫から探ろう。おそらく、異世界についての情報がどこかにあるはずだ」
俺は図書館の奥にある、厳重に封鎖された扉の前に立つ。
どうやら魔術的な封印が施されているようで、簡単には開きそうにない。
王女様は禁書庫も見ていいとは言っていたので、封印を破っても構わないだろう。
「魔術陣による封印ですね。三層……いや、五層の封印ですか。なかなか面倒な」
「いや、一瞬で開く」
「え?」
魔術陣による封印を解く方法は二つ。一つは封印を無理やりこじ開ける方法。そしてもう一つは、さながら錠を鍵で開くが如く、対応する魔術陣で封印を開く方法である。
対応する魔術陣は魔術陣の知識さえあれば、簡単に作り出すことができる。ただし、複雑な魔術陣を細部まで解析し、対応する魔術陣を作り出す、というのには膨大な時間を要する。
しかし、俺にはそんな原則は当てはまらない。瞬間記憶によって魔術陣を細部まで完璧に記憶できる俺にとって、魔術陣から対応する魔術陣を作り出すことなど容易だ。
俺は空中に魔術陣を五つ空中に生成し、禁書庫の封印を開いた。
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