第12話 手紙
情報ギルドでカバネからの手紙を受け取り、俺たちは宿屋へと来ていた。
内容が内容なので、流石にその場で開封するわけには行かない。
「……読むぞ?」
魔女ご一行へ
ひとまず先代の剣聖の居場所はつかめた。どうもグレガリア王国の王都にいるらしい。
何をしているかは複数の噂が錯綜している。旅の途中でただ寄っただけとか、革命の手伝いをしているとか、王女の護衛をしているとか……その辺りは現地の情報屋に聞いてくれ
情報屋K
「グレガリア王国、ね……」
「グレガリア王国ですか……」
サンとアイリスが歯切れ悪く国の名前を復唱する。
隣に座るリアがペシペシと叩いて解説を求めてくるが、アイリスの本棚にはこの世界の地理に関する本はなかったので、あいにくわからない。
「問題ある国なのか?」
「……まあ、問題というか」
「アイランド家による王政のもと、民を搾取する厳しい政治が続いてまして。挙句政治の腐敗も激しいので、そろそろ革命が起きるとは言われていますね」
「革命、か」
手紙には先代の『剣聖』が革命の手伝いをしているという情報があるようなことも書いてあった。
おそらく、もう既に革命の組織のようなものがあって、着々と準備が進められているのだろう。
「……まあでも、行くしかないよな」
先代の『剣聖』の持つ次元切断。今の所、最も手の届きうる異世界への渡航の手段である。
と、俺はそこで追伸があることに気づいた。
P.S.リアの母親の居場所だが、ここにいるはずだ
その下には、住所と思わしきものが書きつけてあった。さすがは父親。リアが場所を話さないことも把握していたようである。
「……早速行くか」
「そうね。会うなら早いうちの方がいいでしょ。どうするかはともかくとして」
そういうと全員立ち上がる。リアも渋々といった様子でベッドから降りた。
Tips「手紙」
冒険者ギルドは長距離間を繋ぐことができる通信魔道具を保有する数少ない組織の一つである意味。他の長距離通信魔道具を保有する組織は、金融ギルド、情報ギルド、暗殺ギルド、及び国家である。
この通信魔道具を活用し、手紙の内容の送受が行われている。手紙とは言いつつも、実質的には電報のようなシステムである。
厳しい守秘義務が貸されている為、手紙の内容が漏れることはない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます