第15話 転生アニメを転生様式で分類してみよう

 転生にもいろいろあることが分かったところで、今まで取り上げてきたアニメ・ラノベを分類してみることにします。


Ⅰ.輪廻転生

 過去から未来へと永劫えいごうもしくは半永久的に転生を重ねるというもの。仏教が誕生した古代インド社会では前提となっていた死生観です。

 本来のインド的輪廻転生では、下は虫獣や上は天人や神族まで転生の範囲となります。

 過去世の記憶は一般には存在しませんが、お釈迦様のような覚者は修行によって過去世を見通す力を備えたと信じられました。

 普通人でも非業の死を遂げると前世の記憶が残ることがあります。その場合、前世の記憶は、言葉を話すようになる二、三歳から見られ、思春期には減衰して成人後はほぼ消失することが、スチーヴンソンらの調査研究で分かっています。

 階段から落ちたはずみで思い出したといった、途中想起の事例もあります。


 このようないわば正統的な輪廻転生観に基づく作品は、実のところ少ないようです。

『よく分からないけど異世界に転生したみたいです』が、輪廻転生・途中想起のかもしれません。

 候補というのは、今後の話の展開によっては転生のカラクリのようなものが持ち出されないとも限らないからです。最近、料理の話ばかりでマンネリ気味ですが、最後まで追っていかねばと思っています。


『本好きの下剋上』(香月美夜原作)

『転生貴族、鑑定スキル』

 この二つが今のところ、正統的輪廻転生の「候補」として挙げられます。ただしともに、出生直後から前世で死んだときの成人の記憶を備えているところが、正統から外れているところです。

 とはいえ、二、三歳で言葉をしゃべれるようになるや否や前世の記憶を語り出すという、これまでの調査の知見にしても、出生直後から前世の記憶の存在があったけど話せなかっただけ、という可能性を否定するわけではありません。

 だから、記憶が出生直後からか、それとも途中からかの区別は、あまり意味はないようです。


Ⅱ.例外としての転生

 勝五郎転生たんのところで見て来た、通常は転生しないけど、神(鎮守の神)の特別なはからいで転生するという、平田篤胤の国学的転生がそれにあたります。

 アニメではこれが主流かもしれません。


 すでに言及した、

『英雄王武を極めるために転生す』(ハヤケン)

の、女神の恩寵で特別に転生させて貰うという設定がこれに当たります。

 他に、あまり憶えていないのですが、

『世界最高の暗殺者、貴族に転生す』

『転生したら剣でした』

 がそうでしょうか。


 分類がむずかしいのが、人気では異世界転生モノでナンバーワンの、

『転生したらスライムだった件』(略称「転スラ」)です。


ーこの項、続くー 


 


 


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