リリーの妹、ローズ

「やあ、リリー嬢」

「えっ、あなたは昨日の…。昨日はごめんなさい」

「いや、気にしてないよ。早速だけどまずは俺と友達になってくれないかな」

これが昨日考えた作戦である。まずは距離を縮めなければいけない。そのためには友達から始めて、仲良くなるのが1番だということになった。

「ええ、それはいいけど」

「!!ありがとう」

リリーはいきなりの友達申請にものすごく不思議そうにしていた。一瞬のきょとんと首を傾げる仕草を見て、(可愛すぎる!!)とジェラルドは内心、悶絶していた。日頃王族として、感情を抑えて生活するようにしているため、表情に出なくて助かった。もし出ていたら、変なものを見る目で見られていただろう。そんな目で見られたら、耐えられない。そんなことを思っていると、ふと背中に視線を感じる。振り返るとリリーと似た顔立ちで金髪のツインテールの美少女が立っていた。

「えっと、君は?」

「お姉様、この人知り合い?」

「ええ。さっき友だちになったの」

「さっきって…」

「お姉様?」

「この子は私の2歳年下の妹で」

「ローズよ」

「よろしく、ローズ」

「……」

「リリー様、少しこちらに来ていただけませんか」

領民に呼ばれたリリーは、

「ええ、すぐ行くわ。じゃあ、私は行くわね」

と言ってその場を去った。

「ああ、また後でな」「はいっ!!お姉様」


リリーが去ったあと、周りの空気が徐々に寒くなり始めた。原因はすぐに分かった。

「……それで、あなたお姉様とどういう関係なのよ。まさか、お姉様のことが好きなんじゃないでしょうね」

「ああ、そうだよ」

ジェラルドはすぐに認めることにした。何となくだが、この少女には隠し事ができないような不思議なものを感じ取ったからだ。

「なっ!!私の方が仲良いんだからっっ、私のお姉様なんだから!!絶対にお姉様は奪わせないんだから!!」

そう言うと走って去っていった。

ジェラルドはローズのいきなりの変貌ぶりに驚き、何も返すことができなかった。


それにしても「リリー嬢がいなくなった途端、態度変わりすぎじゃない?」と、ロベルトとリックに話したところ

「あなたも大概ですけどね」

「そうそう、似た者同士ってことだよな」

と返され、意味が分からず首を傾げていたジェラルドであった。

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