共存の章

第25話 襲撃(前編)


俺達はあれからこっそり、共存派の人間や死者を集めた。

その結果俺達の勢力は数百人の、そこそこの勢力になった。


リーダーは、クリスじゃなくて俺になった。

そして幹部は灯、強子、クリス、雷子だ。


俺達は廃墟で集会を開いていた。


「今はまだ数百名で、何をやっていいかも分からない。」


集めたはいいが、目標が定まらない状況だ。


『………』


「だがもっと人数を集め、デモ行進をすれば必ず。

 国も俺達の意見を聞いてくれるはずだ。」


平和的な解決法、それはデモ行進しかない。

暴力に訴えるのはよくないし。


「頑張ろう、頑張ればきっと共存は見えて…」


そう言った瞬間、廃墟の壁が破壊された

死者退治人らしき男女が何人も見える


雷子は叫んだ


「しゅ、襲撃や!!」


死者退治人はこちらの死者に襲い掛かって来る


「きゃっ!!」「いやぁ!!」


死者が殺されていく。

このままではいけない。




俺は死者退治人の中に飛び込み

死者退治人を蹴散らしていく


「オラァ!!」


「がはっ!!」


俺のパンチ一撃で死者退治人は沈む


「とりゃァ!!」


「ごへっ!!」


俺のまわし蹴り1発で死者退治人は沈む

思えば随分強くなったものだ。




うち雷子は敵の幹部らしき人間と向き合っていた

赤髪ロングヘアーのイケメンで、赤い着物上下セットを着ている。


「死者と人間の共存とは、熱血な事考えるじゃないか。」


うちが考えた訳じゃないけどな。


「だがそんな事許すわけにはいかないな!!

 死者は死ぬ、それがこの世の定め

 定めには従ってもらう」


そう言うとイケメンは構えた


「我が名は炎文字厚(えんもんじ あつし)、君を殺すものの名だ!!」


炎文字、死者退治人の四家の1つやないか

十文字と同格や!!やべぇ奴が来たで…


炎文字はものすごい速度でこちらにやって来る。

うちはとりあえず胸だけはガードした


炎文字は腹パンを食らわせて来た


「ごほっ!!」


うちは吹っ飛んだ

そして壁にぶつかる

こいつ、強い。




炎文字は気が付くとうちの前に居て

容赦なく追撃を仕掛けようとする

うちは雷を炎文字に放った


雷を食らい、炎文字は吹っ飛んで行った。

や、やったか。


炎文字は霊力でうちの攻撃をガードしていた

全身に霊力を集中させたようや。


「なかなかやるじゃないか、だが俺の防御の前には無力だぞ。」


炎文字はこちらに霊力を3発放出して来る。


「きゃっ、あん、いやっ!!」


うちは胸を隠すのが精一杯だった

こいつ、放出まで可能なんかい!!


「さっさとガードを取り払い、成仏するんだ。

 それが輪廻転生、この世の理だぞ」


この世の理なんてクソぐらいやわ。

だけど、勝てない。うちじゃこいつに勝てな…




私、灯は炎文字の前に立ちふさがった


「…雷子じゃ勝てない、引っ込んでて。」


「言うじゃないか、こいつかなり強いで?アンタなら勝てるとでも?」


私は笑った

自信はある


「大丈夫、修行の成果を見せてあげるから」


炎文字は言った


「選手交代かい?人間の女の子を傷つける趣味はないんだけどな。」


私は笑った


「傷つくのはそっちだから、ご心配なく!!」


そう言って私は霊力を放出する


炎文字は霊力を全身に集中し、それをガードする。


「…霊力の放出か、確かに高等技術だ。

 だけど俺にはそれは効かないよ。」


私はひたすら霊力を放出しまくる

炎文字はガードを固める


「連打してもムダ…なっ!!」


私は霊力を炎文字の腹に集中させていた。

腹の霊力が破れて来る


「同じ場所に連撃したら、どうかな?」


炎文字の腹の霊力は破け、炎文字は腹にダメージを受けた


「がはっ!!」


よし、まずは一ダメージと言う所か

炎文字は冷静になって言った


「ガードだけしてたら、やられる、相手か。

 ならば攻めに転ずるしかない!!」


炎文字は霊力を放出してきた!!

弾幕戦に持ち込む気!!


私達はお互い霊力を放出し合う

霊力と霊力がぶつかり合い、煙が出る。




そのせいで私は炎文字が見えなくなっていた。


「炎文字が見えない。」


私は目をつぶった。

集中、集中…滝での修行を思い出すんだよ。


炎文字の気配が後ろからした

私は炎文字に向かって、霊力を放出した


「がはっ!!」


炎文字は攻撃しようとしていて、それに霊力を集中していたようだ

防御はまったくしてなかったらしい

私の霊力波、炎文字の心臓を貫いた


「あっ…」


やっちゃった、私は、人を・・

私は炎文字に駆け寄った


「し、死なないで!!

 私そんなつもりは…」


「…死者退治に失敗した退治人は、死あるのみだよ。

  これも定めさ」


定めってなにさ!!


「いいから起きて、私のために起きて!!」


私は炎文字を揺さぶる、しかし起きることはなかった

私の心は悲しみに包まれた

私は初めて人を、殺してしまった。

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