第6話 小狡い大人


「なに悩んでんだよ?」

「いや、短剣術or索敵だからさ、索敵かな!」

「あぁ、そうだなぁ、上級だから上がるのがこのままいけば四ついるもんな」

「そうなんだよ、だから索敵にした」

「そうか、あ、これやるよ」

「なんだ?バッグ?」

「マジックバッグらしいぞ?」

 ヒップバッグと呼ばれる種類のバッグだがちょうどいいだろ。

「おおおぉ!すげえ!貰っていいのか?貰うけど」

「あぁ、やるよ」

「サンキューな!」

「あいよ!」


 そして扉に向かうと、

「多分強いぞ?」

「おう!俺らも強い!」

「だな!」

 扉を開けると座っているがそれでも3メートルはありそうな巨大なオーガだ。鑑定するとオーガキングらしい。

「サンダーストライク」

『グアッ』

「オラァ」

 と斬りつけるアキラ、

「離れろ!」

“ブォン”と棍棒が振り回されると風圧で吹き飛ばされるアキラ!

 オーガキングは立ち上がる。

「無事か!」

「…なんとか」

「よし!サンダースピア」

『ウグッ』

「瞬歩!」

 よろけた所に脚を斬るとすぐに離れる。

“ドガッ”と棍棒が俺がいた所に突き刺さる。

「うぉ、危ねえな!」

「こ、これ勝てるか?」

「ヒール!勝つしかないだろ!」

 脚を切られ怒っているようだ。

「アイスランス!」

「うおりゃぁぁぁ!」

 アイスランスが腕に刺さると棍棒を落とす、アキラが突っ込んで行き斬るとそのまま奥に走って行く。

『グオオォォォ!』

「タフだな!アイスランス!」

 次は反対の足を狙って魔法を飛ばす。

 両足をつくオーガキングにアキラが背後から斬りつけるとまた離れる。

 腕を振る風圧でやばそうだが、そこにもうアキラはいない。

「ファイヤーボール」

 両手で庇う姿勢だからそのまま疾風で突っ込んで行き腹を斬ると臓物が出る。

『グブッ』

「アイスランス」

 腹を抑えるオーガキングの胸に特大のアイスランスが刺さり消滅した。


「ウオオォォ!怖かったぁ!」

「良かった!勝てたな!」

 と2人で喜ぶとドロップはオーガキングの鎧と皮と魔石、宝箱からはダガーが2本。鬼牙と言うらしい

 とりあえず全部アキラに渡してやると、

「いいの?やった!」

 とアントの鎧を脱いで赤黒い鎧を身につけてダガーも鬼牙に替える。

アントの鎧は俺が収納しておくと、

「それいいよなー」

「バッグやっただろ?」

「いや、そうだけどさ」

 俺はレベルが上がって風魔法or怪力になっていたので怪力にした。

 そしてダンジョンコアが出てきたので2人で触るとスキルをもらう。

 俺は火魔法から火炎魔法になって、アキラは風魔法だった。

 ダンジョンはこのまま残すことにした。

「他の大人たちもここでスキル取れるだろ?」

「そうだな、それがいいな」

 と言って学校に行くとバリケードに張り付いてるゴブリン達を倒して中に入れてもらう。

「こっちだナツ!」

「おう!」

 体育館に横になってる怪我人に回復魔法をかけて回る。


「そんなことが本当にあるのか?」

「あぁ、アキラも一緒に行ったからな」

「わ、わかった、何人か連れて行ってくれ」

 と一緒に行く大人を選別して連れて行く。


「わ、私達もいいですか?」

「ん?あぁ、いいぞ」

「よし!」


 外に出るとまだゴブリンやオークがいるので俺とアキラで狩っていく。

 途中オッチャンと言われてた死体は悪いが藪の中に置いておいた。さすがにあのままは気持ち的に嫌だったからな。


 でダンジョンに到着すると、また湧いているゴブリン達を倒して1人づつ石碑に触ってもらう。

 やはりちょっと頭が痛くなるようだが、みんなスキルをもらえたようだ。


 これで良かった、戦える人も増えたみたいだな。

「チョッとその剣貸せよ!」

「は?自分でなんとかしろ!」

「チッ!貸せよ!」

「やめろって!俺たちは自分でなんとかしたんだぞ!」

「ふん!そんなことはわかってるが貸してくれればいいだろ!」

「はぁ、これならやるよ」

「な、なんだこの剣は?ちゃちいな」

「嫌なら返せ」

「クソッ!」

 はぁ、こう言う奴が出てくるんだよな。

「じゃあ、お前のダガーでいいよ!」

「ふざけるな!誰が貸すかよ!」

「んだお前らここに連れてきただけかよ!」

「そーだぞ!武器くらい用意しとけよ!」

 だめだなこの大人…

「はぁ、置いていこう!」

「あ?ふざけるなぅ!」

「斬られたくなかったら言うこと聞けよ?」

 と剣を抜くとおとなしくなる。

「チッ!くそったれ」

「こっちの台詞だバーカ!」

 とアキラが言う。


「ねぇ、さっきの剣でいいから貸してください」

「おう、いいぞ」

 と渡すと女の子はゴブリンを倒している。

「お前らも見習えば?」

「は!そんなちゃちい剣でやれるかよ!」

「ならアンタらは素手でやるんだな」

 とアキラが怒っている間にも女の子達が自分達でゴブリンの剣で戦っている。

 

 はぁ、どうして大人になるとこんなことになるんだ?

「嬢ちゃん、後でその剣持ってきな!鍛えてやるからよ!」

 とついてきたオッチャンは生産職だったっぽいな。

「はい!ゴブリンの剣が落ちる時と落ちない時があるね」

「そりゃドロップだからだろ?それより剣だよ!剣を貸せよ」

「はぁ、ほれ、みんなこれでやってんだろ」

「クソッ!仕方ねえ」

 と大人たちもしょうがないと戦い出した。

「最初からそうしろよな!」

 と、アキラは憤っていた。

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