2 

ルドはドラゴン討伐依頼を受けた町を出る。

町の人から貰った地図を片手に進む。

この先にもう1つ町があり、

その町をさらに進むとリユの村に着くそうだ。

特に魔族らしき生物は見当たらない。

ルドは少し早足になり進む。

少しワクワクしているようだ。

町についた。

さっきの町より小さく感じる。

〈回復屋〉

『シンプルな名前の店だな』

とルドは思い店の前を通る。

『ラバか?いや、違うのか?仕事中みたいだったな。行こう。』

店の中にラバらしき女性を見つけたようだ。

この町では4年前から魔族の被害が無いそうだ。

『平和…だな』ルドは不思議そうな顔をしている。

人が暮らしている所なら1つは被害があったのに。

『走るか』町をでて地図を見たルドは走り出す。

しばらく走り続けていると、川が見えてくる。

オーク達が釣りをしている。 

「この辺りは平和なんだな」ルドは呟く。

もう少しで着く。

村の入り口から畑仕事をしているリユを見つける。

少し大人びた気がする。


村の入り口に変わらない人を見つけた。

ルドだ。

リユは嬉しそうにルドに向かって走っていく。

「久しぶり!」リユが笑顔で言う。

「ああ。久しぶりだ」

ルドは少し泣きそうな顔をしている。

「あ、キズ跡増えてる…」

リユがルドの右腕のキズ跡に気がついた。

ルドは目を逸している。

村の人達はルドを優しく温かく迎えてくれた。


美しい青い空 

今日も鳥たちは元気よく空を飛ぶ。

「ラバには会ったの?」 

「いや、まだだ。」

「きっとびっくりするよ。結構落ちついたからね」「落ちついた?ラバが?」

「うん。町の人からめちゃくちゃ評判いいんだよね」「そう、なのか。…似ている人なら見かけたな…」「声かけなかったの?」

「仕事中みたいだったからな」

「そうなんだ。まぁ今は平和だし急がなくってもいいかもね」

「そうだな」

2人は釣りをしながら話す。

2日前はかなり釣れいたが今日はまだ1匹も釣れていない。

もう日が落ちそうだ。

「!きた!」

リユの竿がしなる。

引きがかなり強いらしい。

リユは体勢を整え、おもいっきり竿を引いた。

大きな魚が釣れた。

紫色の目をした大きな魚だ。

ルドはすぐに剣を出す。

だが、魚は暴れない。陸に打ち上げられた魚らしくビチビチと跳ねることはなく陸に横たわっている。

弱っているのか?

2人は顔を見合わせる。

魚の目が紫から黒に変わっている。

ルドはトドメを刺した。静かだった。

今日はこれしか釣れていないが、

これを持って帰ればみんな喜ぶだろうそれくらい大きい。

でも2人は不安そうだ。

「必ず火を通してから食べるように言うか」 

「うん。そうだね。何かあればラバと私の出番だね。」

「そうならないといいんだけどな」

この日の夕食ではしっかりと火を通してから

皆食べたようだ。

今のところ何事もない。

2人は少し安心したようだ。

「あれなんだ?オレは初めて見た」

「ルドがわからないなら、私もわからないよ。…国の魔術師様なら何かわかるかも」

「国か、頑張って速く行っても1ヶ月は掛かるからな」

「うん。何も無い事に賭けよう」

「そうだな。」

ルドが来てから2週間が過ぎた。

あの魚の影響はなかったみたいだ。



今日も美しく青い空。

だが……

鳥が騒がしい。

そんな時季だっけ?

空が少しオレンジ色になっていっている。

まだ昼前だ。

ルドとリユは支度をしている。

鳥の騒がしさは朝からだ。

それを見た2人は魔王城に行くことにした。

リユは村全体に守りの結界を念入りに張った。

魔王城はリユの村から早くて4日かかる。

巨大な森を2人は走る。

迷えば二度と出られないと言われる森だ。

2人の体は赤く光っている。

魔法でスピードを上げているのだ。

空がどんどん赤くなっていく。

早くしなければ、2人は更にスピードを上げる。


2人は森を抜けた。

整備された道がある。

魔王城へ続く道のようだ。

「退治の時はなかったはず」

「そういえばこの辺りにシイルが住んでいるんじゃなかったか?」

「あー、家建てるって言ってたね。見張りしたいってことも言ってたから」

2人は道を進む。

家が1つあった。

「あれか?」「多分」

2人はその家に近づく。

「あらぁ〜!久しぶり〜!」

2人の元に女性が近づいてくる。

「!?」ルドは驚いている。

「ラバ‥か‥?」

ラバの姿は5年前とは違う。

リユが言っていたように落ちついた雰囲気がある。「そうよ!わたしよルド!久しぶりね〜5年ぶり?だもんね〜」

「あ‥あ。久しぶりだなラバ」

「リユは1ヶ月ぶりね〜」「うん」

「落ちついたな」

「なんか失礼じゃない?今は夫がいるからねぇ昔みたいに振る舞うのはちょっと」  

「オット‥‥」

ルドは相当驚いているようだ。

リユは2人のやり取りを見て微笑んでいる。

というか、ニヤけている。

「それより、この家よ。シイルの家でしょ。行くわよ。」

「ああ。」

3人は家のドアを叩く。コンコン

「すみません。」

そうルドが声をかける。

何も返ってこない。

3人は顔を見合わせる。

「入るか?」ルドの問に2人は頷く。

ルドが家のドアを開ける。

誰もいないみたいだ。

ルドが家の中に入る。

その次にリユが入っていく。

ラバは杖を隠し持ちながら入る。

普通の家だ。

可もなく不可もない。

少し埃っぽい気がする。

机の上には飲みかけであろうコップが置いてある。「普通の水ねぇ」

「探っていいのかな」

「まぁ後で謝りましょう」

3人は家の中を探る。

ラバがクローゼットを開ける。

リユは棚を開ける。

「いや、そこに人は入らないだろ」

ルドがツッコむ。

「ベットの下に何かあるわ!」

ラバがベットの下から分厚い本を見つける。

「本‥じゃないわ。本の重さじゃない。‥‥開けられたわ。」

本ではなく本の形をした小物入れだった。

「なぁ〜んにも入ってないわ〜」

ラバが小物入れを逆さにしながら言う。

「でもなんかキズついてない?前までは何か入ってたんじゃない?」

リユ小物入れを見て言う。

「本当だわ〜先に盗られたか」

「どうするんだ?それ」

「貰うわ」「気にいったの?」

「えぇ!なんか使えそうだしね。多分シイルのよね。何入れようかしら」

持ち主がいなく、気にいった物があれば自分の物にする。ラバの昔からの癖?だ。

「先に城へ行ってるのかもね」

「そうだな行こう」

3人は魔王城に向かう。

城へ続く道を歩き門をくぐり 

閉まっている城の扉を開ける。

静かだ。

3人は歩く。

3人の歩く音しかしない。

玉座の間の前に着いた。

目の前のには扉がある。

3人は戦闘態勢になる。

5年前と同じ気配が、

扉の奥からする。


ルドが勢いよく扉を開ける。

魔王がいた。

そして魔王の足元には勇者シイルが倒れている。

ラバとリユは魔王へ攻撃をする。

シイルには護りの結界が張られた。

魔王の周りを白、青の弾幕がかすめる。

弾かれているようだ。

ラバは黒い光線を魔王に向けて放つ。

リユは赤と青の弾幕を出し続けている。

ルドは剣を構え様子を伺っている。

「俺は何年眠っていたのだ?」

「5年」リユが答える。

「そうか5年か‥早くてないか?」

「そうね早いわね」ラバが言う。

短い会話の最中も赤と青、黒の弾幕が魔王へ向かって行き弾かれる。

「聞きたいことがあるんだが、少し良いか?」

魔王はこちらに攻撃をしてこない。

それどころかシイルに護りの結界張っている。

その様子を見てラバとリユは杖を下ろす。

「この勇者‥‥何があったんだ?」 

「は?」ラバが気の抜けた声を出す。

「目が覚め城を歩いていたら、見つけたのだ。」

「見つけた時からこんな感じなのか?」ルドが聞く。「あぁ。」3人はシイルに近づき体を揺さぶってみる。叩いてもみる。起きないようだ。

「ここまで騒がしくして起きないのはおかしいな。」

ルドが言う。

「確かに‥」リユが言う。

ラバは、シイルの首を触る。

「何も感じないわ」

どうやら生きている者ならばあるはずの鼓動が感じられないようだ。

「死んでる‥のぉ?」ラバが言う。

「死んでるとしたら、おかしいよ。私達のお守りは何も反応無かったよ。」 リユが言う。

持ち主の身に危険があると同じ物を身に着けている人に反応がでるというお守りだ。

「お守り?」魔王が首を傾げている。

「オレのも何も反応してないな。」

ルドは首からかけているネックレス状のお守りを見る。

「わたしのも。」ラバが自分のネックレスを見て言う。

「前反応があった時寝てたけどすぐに起きれたよね。」とリユが言う。

「えぇそう作ったからねぇ。」

「俺は何もしてないぞ。」魔王が言う。

「‥‥‥やはり普通の死に方をしたわけではないのだな。」魔王は顔をしかめている。

「やはり?どういうことよ」

ラバが少し苛立っている。

「お前は魔法使いだったな。ならよく見て見ろ」

魔王に言われ3人は倒れているシイルを見る。

「?」

ルドは何もわからないみたいだ。

キズ1つない綺麗な体。

‥‥いや、それがおかしいのか?

心臓に何かあったのなら体に何かしらの変化が起こっているはずだ。

毒なら苦しんでいるはずだ。

指先も変化は無い。

壊死などしていない。

呪いではなさそうだ。

「よく見た寝顔と同じだな」ルドが言う。

眉間にシワも無い。奥歯を噛み締めた感じも無い。「‥‥わからない」リユが言う。

「よ、よく見てみろ」魔王が言う。

ルドは剣を構え直す。

魔王は両手を上げた。

「まってルド。術?の痕があるわ」

ラバがシイルを凝視しながら言う。

「あぁ。術者は達者のようだな。痕跡が上手く消されている。」

「消されてるのにわかるのか?」ルドが聞く。

「痕跡を消した痕が残っているんだ。」

「‥‥わからない」リユが少し悔しそうに言う。

「犯人は貴方じゃないわね。魔王。」

ラバは目が疲れたのか目の周りを指でほぐしながら魔王に言う。

「俺はこんなことはしない。」

魔王の赤い目がシイルを見る。

少し悔しいそうな目をしていた気がする。

「この術をかけてる奴を俺は知っているんだ。」

「誰よ」

「魔術師様だ。奴は100年前から生きている。」

「魔術師様ねぇローブのフードを被って顔がよく見えないってことしかわからないのよねぇ。」

「あとネックレス5個くらいつけてたよね」

「宝石だったか?」

「うん。5年前に会った時聞いた。宝石だって言われた」

「そうか。俺もそう聞いたな。」

「シイルはどんな状態なんだこれ」

ルドが魔王に聞く。

「何も入っていない瓶のような状態だ。魂が無い。」

「そんな術聞いたことないわ」

ラバが頭を抑える。

「‥‥味方?」リユが魔王に聞く。

「あぁ」魔王が答える。

「ハァ??」ラバが叫ぶ。

「いや‥‥」叫んだと思ったら何かを考えだした。

「どう味方だと証明するだ?」ルドが聞く。

「俺もこの術をかけた犯人を探す。」

「俺も?私達が犯人を探すってことだよね」リユが言う「あぁ。お前は勇者一行だろう。探すだろ?」

「まぁそうするな」

「そうするね」

ルドとリユが答える。

「でもアンタその姿で探すのか?目立つだろ」ルドが言う。

確かに魔王は背がというか体が大きい。

2mは確実にある。

「‥‥‥お前が許すのであれば、シイルの肉体を借り、共に行動をする。」

「借りるって?」リユが聞く

「シイルの肉体に俺が入るんだ。」

「何それぇ‥そんな術あるのぉ?というかできるのぉ?できるかぁ魔王って呼ばれてるしぃ」

ラバが遠くを見はじめる。

「犯人見つければシイルは生き返るの?」

「‥‥多分だ。俺だけでは難しいだろう。今のシイルは肉体と魂が切り離された状態なんだ。生き返るより難しいな。手がかりがない。」

「魂が切り離されてる?どこにあるんだ?」

ルドが聞く

「消えてはいない。はっきりとはわからないが、近くにあるような気もするが、よくわからんのだ。」

魔王は申し訳なさそうに言っている。

「魂より犯人探すのが今のところいいみたいねぇ」

ラバが言う

「どうするんだ?」「肉体を借りるねぇ」

「いいんじゃないか?」「何かあったら殺せばイイだけだしね」

ルドとリユが言う。 

「そうねぇ、シイルをこんな状態にした犯人が普通に生きてると知ったら簡単に出て来てくれるかもしれないわねぇ‥‥」

“ならさ魔王の死体作った方がいいんじゃない?”

リユはラバはに魔法を使って伝える。

“確かにねぇ空、前退治したときみたいに赤いしねぇ” 「いいわ。シイルの肉体に入って一緒に犯人を探してくれるかしら?」

「あぁ!」魔王が言う。

「では、借りるぞ。」

魔王がシイルの頭に手を優しく置く。

白いような黄色いような温かい光がシイルと魔王を包む。

「上手くいけたぞ!」シイルが起き上がり言う。

「え"っもうおわったのぉ‼?」ラバが言う。

ルドとリユも驚いている。

「目線が低いな」シイルの肉体に入った魔王が言う。

少し失礼じゃないかな。

「人前だとこれにシイルって呼ばなきゃいけないのかぁ」リユが言う。

「これ扱いはヒドイんじゃないか?」

ルドがリユに言う。

「お前達は何と呼んだらいいのだ?」

「シイルはそんな話し方しないよ」

「‥‥‥、君達は何て呼んだらいいのかな?」

魔王が言う。

ルドとリユが変な顔をしている。

「私はリユ」

「オレはルドだ。ンで、ラバだ。」

ルドがラバを指差ながら言う。

「わかった。‥‥ん?」

魔王は首にかかっているネックレスを見る。

「薬瓶?小さいわね」ラバが言う。

「何か紙が入っているな。勝手に見ても良いのか?」「いいわ。わたしが許可をだすわ!」

ラバが言い4人は薬瓶の中に入っている紙をみる。



※補足です。

魔法使いと魔術使い(魔術師)は階級の違いです。

なので魔術師はヤベぇです。

Lv1~150が魔法使いLv151~Lv???までが魔術師

という感じです。

フワッとしているのでフワッと覚えて頂けると嬉しいです。

ラバはLv150です。

弱い訳じゃありませんよ!

あと、ラバは知らない魔法や魔術をみると最悪発狂します。気をつけましょう。

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