元勇者一行が5年ぶりに再会する!
み
1
「おーい!今日はいっぱい釣れたぞ〜!!」
村の入り口からオーク2人が嬉しそうに、
畑で作業をしているリユ達に声をかける
「よしっ!今日は魚パーティーにようかねぇ!」
作業をしていた中年の女性がはしゃぐ。
勇者一行が魔王退治をしてから5年が経った。
リユは勇者一行の1人だった。
魔法使いでもあり、戦士でもある。
この村でリユは産まれた。
今は特に何事もなく平和に暮らしている。
魔王を退治するために10年以上旅をしていた。
魔法がなければ何回か死んでいただろう。
それくらい魔族達が多く強かった。
そんな旅をしていたリユにとってこの5年は少し懐かしく、落ち着く環境であった。
「リーーーユーーー!!!!!‼」
少し遠くから走ってくる少女の焦りが混じった呼び声が聞こえる。
「くまがぁ!また!出たの!森で!すっごく大きいの!」
少女は腕を大きく動かしながらリユに伝える。
「わかったよ。今日は魚と熊パーティーだね。まってて。」
リユは少女にそう言い、畑仕事を他の者に任せ、
森へ走っていく。
森の中は木が多いいせいか昼間なのに薄暗い。
リユは空中から杖を出し、
光る玉を2つ出し足元と進行方向を照らし歩く。
ガサガサと葉を揺らす音が聞こえる。
葉を揺らす音が大きくなった。
リユは戦闘態勢になる。
人の2倍以上はある熊が出てきた。
リユは杖をしまい斧を出し両手で構える。
互いに見つめ合う。
熊が片手を振りかざす。
当たれば、リユだったものになる。
リユはしゃがむ。
熊の殺意がこもった手がリユに近づく。
熊の手が地面をえぐった。
リユは熊の背後に立っている。
熊の後ろ足が紙のように切れた。
熊は地面に突っ伏している。
隙だらけだ。
熊は紫色の目でリユを睨む。
それが、熊の最期の行動だった。
リユは杖を持ち、熊を魔法で浮かせながら村へ帰る。
村の者達はリユが帰ってきたことに安心している。
「やっぱこえ〜よ〜」
「無事で良かったわ〜」
オークや中年の女性が言う。
先程の少女は母親に叱られていた。
「あれくらい余裕だよ。」
リユは微笑みながら言う。
熊をゆっくり地面に下ろした。
その日の夜は魚と熊、村で採れた野菜で満足していた。
小さな町。
リユの村の近くにあるこの町には元勇者一行の1人ラバが住んでいる。
この国で魔法を学ぶなら誰もが知っている。
そんな魔法使いだ。
ラバは町の医者が治せない用件をこなす
〈回復屋〉だ。
店主はラバの夫。
夫も魔法使いだ。
ラバのことは尊敬しているが、同時にヤベー奴とも思っている。
ラバはリユの村の近くの森によく行く。
「あの森には使える薬草が沢山生えてるのよぉ〜」
そう言い今日も薬草を採りに来ている。
薬草を採っていると、
ズシッズシッっと重い音がした。
ガサガサッズシッズシッガサガサ。
ラバは直感的に魔族だとわかる。
魔王退治をして数は減ったが、
魔族が消えることはないみたいだ。
紫色の目とあう。
「1人で来てよかったわ〜」
ラバは空中から杖を出す。
人のような虎のような狼のようなヤツがいる。
ラバは杖を構える。
丸い紋章が杖先から出てくる。
紋章の中心から青い光が出てくる。
あたりはキラキラしている。
魔族の胸に穴が開く。
頭、左足、右腕、次々と体に穴が開いていく。
魔族は地面に倒れた。
肉体が灰になって消えていく。
再び薬草採りへ戻るラバ。
「ラバ!お帰り!ケガはないかい?大丈夫かい?」
帰ると夫が声をかけてくる。
「大丈夫よぉそれより見て!この薬草たち!良いものがあったのよぉ!」
ラバは嬉しそうに夫へ薬草を渡す。
「今すぐ使おうオオカミさんがケガをしているんだ。」
夫はラバの採ってきた薬草で薬を作っている。
店の奥から顔を出すラバ。
「ごめんなさい。もっと早く帰ってくればよかったわぁ」
「いえ、大丈夫です、そこまで大きなキズじゃあないんすよ」
「でもケガはケガよ」
2人が会話をしていると夫が薬を持ってきた。
「少ししみて痛いだろうけど、がんばってくれるかい?」
「大丈夫っすお願いします」
薬をオオカミさんの傷口へ塗っていく。
少し痛そうだが、傷口が綺麗に治っていく。
「おぉ!すげぇ!」
ケガなんてしてなかったかのように治っている。
オオカミさんは嬉しそうだ。
「何かあったら、夜中だろうがすぐに来てくれ。」「はい!ありがとうございます!2人とも!」
オオカミさんが帰り、夫はラバに聞く。
「魔族はいなかったのかい?」
「あ〜。いたわねぇ〜そういえば。」
まるで虫を見かけたのを思い出したような反応だ。
夫は少し不安そうだ。
「わたしは魔王退治をした内の1人だからねぇ。強いのよぉ!それに今更魔族なんて怖くないわ」
夫は更に不安そうな顔になった。
勇者一行の1人戦士ルド。
魔王退治の後4年程旅をしながら魔族を狩っている。家よりも大きなヤツ、毒を撒き散らすヤツ数えきれないほど殺してきた。
今日も魔族討伐の依頼があるようだ。
「戦士様!あの塔から2時の方向に巨大なドラゴンが!報酬は何でもお出し、しますので!どうか!討伐を!」
町長が焦りながらルドに頼む。
「わかった。行ってくる。」
ルドはそう言い、言われた方向へ走る。
「ありがとうございます!戦士様!……戦士さま?もう行かれたのですか⁉」
ルドは勇者一行の魔法使いであるラバとリユから教わった魔法をで武器を空中から取り出す。
目の前には人なんで簡単に飲み込めるだろう大きさのドラゴンがいる。
翼を羽ばたかせる。
突風のようだ。
気を抜けば足がもつれ、体勢を崩されるだろう。
腹と手足に力を入れる。
赤子くらいの大きさの紫の目がこちらを睨む。
ルドは少ししゃがみ地面をおもいっきり蹴り飛ぶ。
ドラゴンの頭より高く飛んでいる。
ドラゴンは叫び、また翼を動かしている。
空中にいるのにも関わらずルドは吹き飛ばされない。ルドの体の周りは赤く光っている。
ルドは大剣を両手で持ち振り上げる。
ドゴォンッ。
ドラゴンの頭に当たった。
切れはした。
血が出ている。
ドラゴンの頭の上に着地したルドの足の間をドラゴンの血が小川のように流れている。
ドラゴンは頭の上にいるルドを振り落とすため、頭をふる。
ルドはドラゴンの頭の上でジャンプをする。
赤く光る大剣を今度は首めがけて振り下ろす。
ドスン……。
ドラゴンの体が地面に倒れるれ砂埃がまいドサッッ。
頭が地面に落ちる。
地面に立つルドの足元にはドラゴンといっしょに切ってしまった地面がある。
「加減を間違えた…」
ここにラバとリユが居たら脇腹や腕や頬をつつかれ文句を言われていただろう。
町へ戻り討伐をしてきた事を伝える。
報酬に宿を頼んだ。
「豪華‥だな。」
酒場居る者達に今居る町周辺の地図を見せてもらった。
この町がリユの村からそこそこ近いという事を聞いた。
ルドは5年ぶりにリユに会いに行くことにした。
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