第5話 移住グループの最期と謎の銀山

 ふと振り返ると、移住グループとして旅立った一人の村人が瀕死の状態で倒れていた。

「どうした!しっかりしろ。何があったんだ?」

 私は必死に手当てをした。しかし、彼はそのまま息絶えた。息絶える寸前、その男はこう口にした。

「や、やまの神・・・」

 いったい、山の神とは何だったのか?

 そうこう言っている間にも岩山の掘削は続く。掘削グループのリーダーが大きな声をだした。

「ついに岩盤を貫いたぞ」

 硬い白の岩盤の下には柔らかな地層が埋まっていた。もう、硬い岩盤を掘らなくてよいのだ。掘削グループは互いに肩を抱き合っていた。

 しかし、岩山を掘り続ける我々にも山の神の祟りが降ってくるだろう。もう、こんなに削ったのだ。もう、祟りは避けられないだろう。そう思うと私は山の神の正体が気になりだした。

 私はこっそりと村を抜け出した。


 いくつもの山を越え、いくつもの谷を渡り、私は必死に彼らの新しい移住先を目指した。

 しかし、現地に近づくと私は唖然とした。彼らが移り住んだはずの岩山は、銀の塊となっていたのである。

 こ、こんな山、我々の力ではとても掘ることはできない。これも山の神の力なのか?

 周囲を念入りに調査したが、どうやら生き残っている者はいなかった。

 その時、私の脳裏に不安がよぎった。私の村は大丈夫なんだろうか?

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