第3話 洞穴の外へ
山の頂にたどりつくと、意外にもそこは平地のような土地が広がっていた。彼の村はその台地の中央付近はわずかにへこんでいて、そこに村ができていた。思っていたよりも大きな村だ。成人男性のほとんどは槍で武装しており、その槍を使うと地面の岩盤をいとも簡単に掘ることができた。我々が手や爪で少しずつ掘削していたのとは大きな違いだ。彼の話によると、その村では遠くまで食料を探しに行かなくても難なく食料が確保できるという。何という恵まれた環境なのだろうか。私はその村人から当面の食料を分けてもらうと、自分の家族の待つ洞穴へと戻ることにした。
私は、妻に思い切って相談した。この洞穴も手狭だし、食料の確保も難しい。いっそのこと家族全員で山頂の村に移住しないかと。住み慣れたこの家を離れるのは心細いと思う。しかし、増え続ける家族の事を思うと、この選択も止む無しと思ってのことだった。
妻には考えて決めてもらう必要があると思った。しかし、妻の決断は早かった。
「あなたが決めたんだから、いいわ。私はついていくわ」
私は妻と固く抱き合った。
その数日後、我々は準備を整ええると家族全員で山頂に向けて出発した。
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