第61話 本家の人間が......
正一が俺の所に訪ねてきた。
此奴、なんで熱海になんか来たんだよ。
話しを聞くと熱海中を探しまくっていたそうだ。
一応は恩人だが、美沙姉に酷い事を言いそうなので、美沙姉にはホテルに居て貰い……外の居酒屋に連れて来ている。
「それでどうしたんだ?」
「いや……とんでもない年増と結婚させられそうになったから逃げてきたん」
「いや、年上も良いもんだぞ?」
「俺は嫌だ」
此奴逃げたと言う事は、古馬本家を捨ててしまった。
そういう事だ。
「お前、まさか、古馬本家を捨ててしまったのか? どうするんだ?」
「まぁな……当座のお金はあるが……今後どうして良いか解らないんだ」
俺に相談されてもな。
俺が雇うにしても、村に近寄れないんじゃ無理だ。
一応、正一の希望の『ハーレムが作れる』仕事を遊び半分で探してみた。
そうしたら……ある事はあった。
「正一、商売のもとでになるお金はあるか?」
「幾らあれば良いんだ?」
「そうだな、大体3百万位あればいけるかもな」
「なんだ、それ位ならあるが……それ儲かるん?」
「儲けはそこそこ……だが、ハーレムは手に出来るかもな」
「それ、面白そうやん」
「ただ、これはあくまで情報しかない。失敗しても責任はとれないが、それで良いなら、そういう仕事はある」
「それで構わないから教えてくれ」
「そうだな、ホテトルって知っているか?」
「ホテトル?」
「派遣型の風俗店だ……」
俺は自分が知っている限りのホテトルの知識を教えた。
◆◆◆
美沙姉と渋谷のファッションホテルに行くときに電話BOXに派遣型の風俗店の名刺サイズのチラシが沢山貼ってあった。
悪い癖で、なんでも商売に結び付けてしまう。
その商売がホテトルだった。
※今でいうデリヘル
興味を持った俺は、どうやって商売をするのか調べてみたら……
どうやら、ヤクザから権利を買うみたいだった。
『箱』という権利が売り出されていて大体100万円位。
それで、ホテトルの経営権が手に入る。
この権利には、今現在使われているホテトルの電話番号と、電話ボックスにピンクチラシを貼って良いというヤクザさんから許可付き。
あとは、要交渉で廃業したホテトルとして借りていた事務所や女の子を引き継ぐことが出来る。
通常の風俗店とは違いかなり緩く、オーナーなら女の子に手を出しても問題無い。
基本的にオーナー 電話番 送り迎えの運転者(ボディーガード兼ねる)女の子以外はこの3人だけだから、まぁオーナーに文句を言う人は少ないだろう。
研修という名目で一番最初に『女を抱く』のはオーナーで、派遣をするのはその後だ。
しかもヤクザが仕切っていて地域ごとに『箱』の数を制限しているから競合は少ない。
興味から調べただけで、村で暮らす俺はこの商売はやらない。
それに風俗業なんてしたら美沙姉が嫌な顔するから出来ない。
◆◆◆
という感じの話なんだ。
「それいいやん」
「正一、本当にやるのか?」
「やらない理由がないだろう」
古馬本家の長男がホテトルの経営者……まぁ気にしても仕方が無い。
古馬本家を離れたのは俺のせいじゃない。
「渋谷だったら『箱』の権利を売ってくれる組が解るから教えておこうか?」
「ああっ頼むよ」
それを聞くと正一は、手を振りながら居酒屋を後にした。
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