模擬戦
訓練場では騎士達が訓練をしていた
そしてその中にアルトを見つける
「副団長客人が来ています」
リンドがアルトに話しかける
「客人ですか? あぁなるほど分かりました」
2人を見て頷き訓練を辞める
クロナは騎士の訓練を見ていた
……おぉ、良い動き、流石騎士、基礎がしっかりしてる
騎士のレベルの高さに感心していた
冒険者は我流が多く基礎を疎かにする者が多い
騎士の訓練はしっかりとした実力を持つ教官の指示で行われる為基礎がしっかりとしている
冒険者には突出した存在が居るが平均的な実力であれば騎士の方が高いだろう
「私に何か御用ですか?」
「スラム街? の元締を叩きに行くから手伝って」
「……どういう事でしょうか?」
説明が足らず情報が上手く情報が伝わっていない
それどころかクロナの説明では寧ろ騎士団としては止めに入る必要がある
「呪いの件でその呪使いはスラム街の元締めと繋がっている可能性があるという話です」
「そそ、スラム街にユイラは連れていけないから代わりにって」
「成程、分かりました。準備をしてきますので良ければ訓練を見ていってください」
「はーい」
「分かりました」
アルトは更衣室へ向かう
その間訓練を観察する
「もし良ければクロナさん手合わせお願いします」
「良いよ〜ルールは?」
「魔法、魔力無し武器は木刀、格闘はありで一撃先に当てた方が勝ちでお願いします」
「OK」
「やり過ぎないようにしてください」
「加減はするよ」
訓練場に置かれている木刀を2人は持つ
そしてリンドは構える
……壊れないように調整して
木刀を破壊しないように気をつける
魔物との戦いとは違う
かなり力を抑える
「いつでもいいよ」
「では行きます!」
地を蹴り接近する
鎧が無く身軽の為移動が早い
……思ったより早い
大きく振りかぶり振り下ろす
後ろに重心を逸らして回避する
木刀の先端が地面に付くギリギリで剣先の向きを変える
……切り上げか!
リンドは更に一歩踏み込み切り上げる
剣先を見ていたクロナは気付き地面を蹴って後ろに飛んで躱す
「危なかった」
踏み込んだ事で間合いの位置が変わり一撃目は避けれた位置でも二撃目は当たる
……良いね
素早く木刀を振るう
リンドは振るわれた木刀を視認出来なかったがそれよりも先に腕の動きから予想した位置に木刀を置いた
すると木刀同士がぶつかり手に大きい衝撃が走る
手が痺れる
「手が……でも防いだ!」
木刀を逸らして滑られる
若干体勢を崩したクロナに肘で攻撃を仕掛ける
格闘ありにしたのはこういった手が使えるから
しかし、その手はクロナには通じない
頭を動かして肘を回避して頭突きを食らわせる
「格闘ありってこれも可能だよね」
「うおっ……あと少しだったのに」
「惜しいね。本当に危なかった」
「手合わせありがとうございました」
「またやろう」
「次は勝ちます」
「良いねぇその意気だ」
「誰?」
「新しい教官?」
「にしては若いな」
「あの動き加減してたな」
「魔力なしであれだけ出来るのか」
「それに副団長の客人だってさ」
「手合わせしたい」
「頼むか」
この言葉を聞いていたクロナは騎士達に近付く
「良いねやろう。全員で戦ってきていいよちょっとだけ本気で行くから」
「全員で?」
「それは舐められた物だ」
「騎士の力を見せてやる!」
「行くぞ!」
「うぉぉぉぉ!」
その言葉を聞いた騎士達が木刀を持ってクロナに突っ込む
その光景を見ていたユイラはため息をつく
知り合ってからそれ程時間は経っていないが十分に予想出来る光景だった
「やっぱり」
騎士の攻撃を躱して木刀を叩き込む
攻撃を受けて弾く
素早く連撃を放って騎士を薙ぎ払っていく
「くっそ!」
「やられたァ」
「ゲホッ……強っ」
「攻めろ!」
「うぉぉぉぉぉ」
「もっと来な」
木刀で次々と薙ぎ払っていく
「えぇっと……模擬戦ですか?」
「そのようです」
「魔力魔法なしの戦闘とは言えあの数の騎士をなぎ払いますか」
「とんでもない強さですよね」
「ですね。副団長3人を圧倒しましたし」
「は、はい!?」
「あぁ知りませんでしたか」
「も、もしかしてあの基地の壁吹き飛ばしたのはクロナさんですか?」
「いえ、あれはディルアの魔法ですね」
「クロナさんの仕業じゃなくてなんというか安心しました」
「ウォーターインパクトなんて室内で打つ魔法では無いんですがね」
「近接殺しの魔法、クロナさんはあの魔法をどうやって突破したんですか? 回避?」
触れたら発動する魔法
近接戦を得意とする者には厄介な魔法であり近接殺しとも言われている
防御するにしても威力が高く無理やり突破は絶望的
ほぼ回避を選択しなければならないが回避すれば他の魔法が飛んでくる
「いえ、真正面から切り裂きました。魔法が切られたことを認識できない程の速度で切ったとか」
「……意味がわかりませんね」
「実際に見た私もよく分かりません」
「あっ、準備終わった?」
騎士を倒し終えたクロナが戻ってくる
「はい、終わりました。それでは向かいましょうか」
騎士達はぐったりと倒れている
疲労と遠慮なく叩き込まれた攻撃で倒れている
「強すぎ」
「意味わからん」
「魔力も魔法も無しであんな動き出来るのかよ」
「剣撃速すぎて全く見えなかった」
「俺も」
「俺もだ。なにあれ」
「知らん」
転がっている騎士達を無視して2人はスラム街へ向かう
その道中アルトは質問をする
「スラム街の元締めと繋がっているのは貴族ですね」
「そうだよ。騎士団長から聞いた。名前は……」
「その話は知っています。確かに彼は呪使いと繋がっていると聞いています」
「なら話が早い、その貴族が呪いをかけた呪使いと繋がっている可能性は高い」
「それにしても武力行使ですか」
「無法者との会話で手っ取り早いのは金か武力行使、裏の仕事をして関係を作るのは時間が掛かりすぎる。元締めとなれば1年じゃ終わらない」
「詳しいですね」
「元無法者だから、冒険者の前は」
冒険者になる前、クロナは無法者であった
「そうなんですね」
「犯罪行為もしてたよ」
「騎士の前で言いますかそれ」
「騎士団がその気になればバレるからね」
「まぁ骸龍の功労者で現在は犯罪行為をする気がないならわざわざ捕らえません」
「大犯罪犯してても?」
「そうなれば別ですが精々他の無法者からの強奪でしょう?」
「なぜバレた」
「貴女は誰彼構わず喧嘩を売る訳では無い。実際騎士団長が言った通りあの時は副団長が先に手を出しましたし目的自体冒険者に無理な作戦をさせないでしたし」
「まぁ君も魔法使ってたけどね」
「拘束を少し、最もすぐに破られましたが」
「あれは驚いたよ。突然拘束されるから」
「それが無詠唱の強みですね。悟られづらい」
「良いね」
「そろそろ着きます」
薄暗い裏道を通る
埃だらけだが何人かの人が通った痕跡がある
そして王都の中で最も危険な場所、スラム街に入る
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