呪い編
呪い
「呪いを掛けた魔法使いって探せる物なの?」
「呪いに付着してる魔力は魔法使いの魔力なので見つけさえすれば」
「成程、それって呪い掛ける側って結構危険な橋過ぎない?」
魔力で見つかるとなれば呪いを使った後人里離れた場所に住むか潜んで暮らさないとならない
魔法を使えばその残滓でバレてしまう
呪いはリスクが大き過ぎる
「えぇ、ですから呪いを使う人間は少ないんです。ですが呪使いと名乗る人々が呪いを使って金儲けをしています」
「兄がその呪使いを雇ったか。兄を尋問は?」
「メメト家は大貴族です。その長男をと言うのは無理です」
「そっかぁ……ってユイラ大貴族なの!?」
大貴族、貴族階級の中でも高い位の貴族を纏めてそう呼ぶ
「はい、ユイラ・メメト、大貴族メメト家長女です」
クロナは貴族だとは知っていたがまさかその中でも位の高い大貴族とは思ってもいなかった
「金持ち?」
「はい、結構な金持ちです」
「当主ってどっちがなるの?」
「順当に行けば兄です」
……なら呪いを掛けた理由は家関係では無い?
「ただ魔法の才能は私の方が上でした。なので両親も私を当主に据えようとしていました」
「成程、兄も防御魔法の使い手?」
「いえ、兄は攻撃魔法が得意で防御魔法は苦手です」
「メメト家は防御魔法の家系とか?」
「いえ、歴代当主には防御魔法の天才や攻撃魔法の天才など得意魔法はそれぞれ違ったそうです」
「単純に才能の差かそれとも努力の差か」
魔法は大きく才能が影響する
自身の持つ魔力量や魔法の習得に必要な能力などが才能に影響される
努力である程度は埋める事は可能
しかし、努力だけではどうにもならないこともある
一般の騎士や冒険者がユイラクラスの防御魔法の使い手になるのは難しい
一般人が努力してもアルトのように多くの魔法を無詠唱で扱えるようにはなれず騎士団長フェネス程の魔法の技術は得られない
魔法の世界は才能の世界なのだ
「どちらもです。兄に私程の才能はありませんでしたし私程の努力はしていません」
「そうなんだ」
「でも当主の座を兄から奪おうなど考えていませんでした。私は騎士になるつもりでしたから」
「騎士に?」
「はい、この国を守る騎士に、ただこの呪いを解除しなければその夢も叶いませんが」
「掛けられてる呪いってどんな呪い?」
「……掛けられてから1年で死ぬという呪いです」
「な……1年……」
……確か3週間前って言ってたけど呪いが掛けられてから……つまり後11ヶ月ちょい?
クロナは気づく
急いでいる用事と言うのは魔法使を探す事だと
「騎士団長達は呪いの内容を知ってるの?」
「反応からして知っていると思います。この呪いは有名ですから」
「私は魔力を感じる事は出来るけど判別は出来ないからなぁ。それに魔法使いなんて」
魔法を使えない者以外はほぼ魔法使いと言っても過言では無い世界
そんな中から掛けたたった1人の魔法使いを見つけるのは困難を極める
「何か他にも手掛かりがあれば……」
「体格はローブで分からなかったですし魔法で弄った声でしたから本人の情報は魔力以外には特には」
「呪使いについての情報があればワンチャンかなぁ」
「といいますと?」
「雇ったのなら金の動きがある。ならその日の前後数日間にユイラ兄が接触していると思うんだよね。それ以外だとその日に動いた呪使いの情報があれば数は絞れる」
……それに殺していいのなら疑わしい者を殺せばいい、呪使いは呪いを使う。私は詳しくないけど呪いは他人に対して良い効果を与えない事くらいは知ってる
「確かに……呪使いのアジトを攻めるのもありかもしれませんね」
「まぁアジトがあったとしても何処にあるかなんて分からないからなぁ」
「何も分かっていないのでアジトは大雑把に探します」
「それはどういう?」
「貴族の中には裏の人間と繋がっている人が居ます。そして兄は貴族、もし裏取引をしたならそのルートが1番怪しいので」
「成程、と言っても裏で繋がってる貴族をどうやって見つけるの? 裏でだから表立っては活動していない筈」
「どれだけ隠れてやっていても痕跡は残ります。そしてその痕跡を調査するのは騎士団の役目」
……騎士団って本当に色んな仕事してるんだ
騎士団は魔物退治以外にも治安維持、犯罪者逮捕などの役目がある
騎士団の権力は独立していて独断で貴族を捕らえる事が出来る
その為怪しい貴族は目星を付けて監視をしている
「ほほう」
「裏ルートで繋がっている貴族を騎士団が怪しんでいる筈です。明日騎士団本部に行きます」
「着いてくよ」
「対魔物とは違いますよ。対人つまり人と殺し合う可能性が高いです」
「むしろ私はデカブツとか居る魔物より対人の方が得意なんだよ。人も魔物も差は無い」
クロナの剣術は対魔物に調整されているが元は対人用の剣術であった
それ故にクロナは対人戦が得意
「そ、そうですか。……無鉄砲には突っ込まないでくださいね」
「ちゃんと指示が出るまでは大人しくするつもり、それじゃ私宿に戻るから明日朝ギルドに」
「分かりました。ではまた明日」
2人は別れてそれぞれの宿に泊まる
そして翌日の朝ギルドに集まって騎士団本部へ向かう
騎士団本部は王都の中央に存在する貴族区にある
「ここが貴族区……初めて来た」
豪華な家が立ち並ぶ
大通りなどとは全く違う見た目をしている
……豪華絢爛、成程貴族が好きそうな見た目だ。私はこう言うの嫌いだけど
道を知っているユイラは真っ直ぐ歩いていく
「平民はほぼ立ち入れませんからね」
「……私入っていいの?」
「クロナさんは私の客人ですし騎士団の客人でもあります。そこらの貴族が文句を言ったらこの場から立ち去るのはその人達です」
大貴族と騎士団の客人に無礼な真似をすれば貴族でもタダでは済まない
最悪の場合、貴族階級からの追放も有り得る
少しの間行方不明になっていたとはいえユイラは変わらずメメト家の人間
権力はそのまま持ち合わせている
「わぁお」
「まぁそんな馬鹿な真似は誰もしません。騎士団本部はこっちです」
「騎士も大半貴族だけど大貴族は居るの?」
「詳しくは知りませんが騎士団長とアルト副団長は大貴族の家系ですよ」
「確かにThe貴族って感じの2人」
「騎士団長に関しては公爵家ですから」
「公爵家?」
「王様の次に権力を持つ貴族の事です。ちなみに私の家メメト家は侯爵家です。読みは同じですが騎士団長の下の位の貴族です」
「ほほう、なるほど?」
「まぁこれは余り気にしなくて大丈夫です。着きました」
騎士団本部に着く
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