一般通過JK、天御心流セミナーを開催する③

 舞夜の言葉に、参加者たちは集中して腕を振り下ろす練習を始めた。

 

 一見すると単純な動作だが、実際にやってみると思うようにはいかない。

 

 脱力の感覚をつかむのは、誰もが悪戦苦闘しているようだった。


「ん~、これだと腕に力入っちゃってるかな」


 舞夜は空手家少女の腕に触れ、優しくアドバイスする。


「力で振り下ろそうとすると、ぶつかる瞬間に無意識でブレーキをかけちゃうんだよね。

 ミットに当てるって意識を手放して、ただその場に腕を落下させる感覚でやってみようか」


「ありがと舞夜ちゃん。えーっと、こーかな?」


 空手少女は舞夜のアドバイスを意識しながら、再び腕を振り下ろす。


 すると、今度は先ほどよりも鋭い音がミットに響き渡った。


「おっ! いいんじゃないかな。どうでした受け止めた感じは?」

 パンク女性に向けて、舞夜が期待を込めて尋ねる。


「さっきの舞夜ちゃんの打撃に、だいぶ近づいてきた気がする」


 ・パンクお姉さん感じ取ってる!

 ・成長しとるw

 ・空手少女の上達はええな

 ・舞夜ちゃんの指導がわかりやすいのもでかい


「そうそう、でももっと力を抜いてみようか。脱力が足りないと、せっかくの威力も半減しちゃうからね」


 空手少女は深呼吸してさらに力をさらに抜く。


 今度はさらに重く鋭い音が響いた。


「くっ……! 今のは、さっきよりも一段と重みがあったな」


 パンク女性は身体に伝わる衝撃に、うめき声をあげた。


 その反応に、空手少女は嬉しそうに笑みを浮かべた。


「やた!」


 ・ナイスアドバイス!

 ・これが脱力か


「いいね! その調子!」


 舞夜は参加者たちに向けて、さらに細かな指導を行う。


 ときにはお手本を交えながら、腰の落とし方や、重さの感じ方、細部に至るまで丁寧に教えていった。


 参加者たちは試行錯誤を繰り返しながらも、確実に脱力の感覚を掴み始めていた。


 お互いの動作を観察し、互いにアドバイスを送り合う姿からは良い空気感が生まれている。


 もちろんパンク女性もまた、真摯な面持ちで練習に励んでいる。


 練習を重ねるごとに、参加者たちの動きは洗練されていく。


 無駄な力が抜け、腕の振り下ろしはより鋭利なものへと変わっていった。


「みんな、すごくいい感じ! どんどん上達してるよ!」


 褒められた参加者たちよりも舞夜は嬉しそうにしている。


 ・おお、みるみる上手くなってくな

 ・舞夜ちゃんの教え方が上手!

 ・ふーん脱力ってこういうことなのね

 ・パンクお姉さんも熱心にやってるw


「……改めて、舞夜ちゃんのすごさを実感した」


 パンク女性は空手少女と練習しながら、しみじみとつぶやく。


 最初は懐疑的だった彼女も、今では一切の疑念がないようだった。


「ねえ、これって実践で攻撃するときにも応用できるんでしょ?」


 パンク女性の質問に舞夜はにっこり微笑む。


「もちろん! 脱力の技術はそのまま打撃に活かせるよ!

 このセミナーの集大成として、実践的な使い方もやってみよう!」


 ・いよいよ実践的な技がみれるのか

 ・楽しみすぎるw


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