一般通過JK、スラミー王国へ挑む with 美桜②

「さっそく実け、もとい赤スラミーが近くにいるね」


 ・実験台って言おうとしたなw

 ・ぽよぽよしててかわいい

 ・スライムとなにが違うの?

 ・スラミーは物理耐性がめちゃめちゃ高い

 ・魔法にはくっそ弱いけどなw


 赤スラミーを見つめながら、美桜へ問いかける。


「さっきの話聞いて思ったんだけどさ、魔力譲渡って純魔力操作の応用? だよね?」


「はい、最初は本当になんにもできなくて色々試すうちに人に魔力を与えることができるってわかったんです」


「がんばったんだねっ!」


 舞夜は嬉しそうにほほえみ続ける。


「モンスターにぶつけるとどうなるか試したことある?」


「……一応あります」


「どうだったって聞くより見せてもらおうかな。そこの赤スラミーに純魔力ぶつけてみよう!」


 美桜が集中して純魔力操作で純魔力を操り始めると、美桜の手のひらに魔力が集まり始めた。


 その魔力は透明で、まるで空間がうっすらと歪んだように見える。


 舞夜がその様子を興味深そうに観察する中、美桜は集約した球状の魔力を赤スラミーめがけて投げる。


 ・なんか強そう

 ・これそうとうな魔力量だな

 ・魔力で髪がブワッとなるの強キャラ感ある


 魔力球は赤スラミーへと直撃する。


 しかし、赤スラミーは平然とぽよぽよ跳ねていた。


 攻撃されたことにすら気づいていないようで、そよ風程度の影響しか与えることはできないようだった。


「魔法に弱いスラミー相手でさえこれです……」


 わかりきった結果に美桜は沈んだ様子でつぶやく。


「ふむん。んーそしたら次、私に当ててみてくれる?」


「えっ!? そんなこと恐れ多くてできません!」


 ・出た脳筋w

 ・美桜ちゃんびっくりしてて草

 ・モンスターの攻撃もわざと受けたりするからなw


「いいからいいから」


「うっ、で、でも」


「ほら私を信じて。大丈夫だからね」


「……わかりました。では、いきますっ」


 そして放たれた魔力球は舞夜に直撃した。


 スラミー相手にぶつけたときと同じように、舞夜も何事もないような反応を見せた。


「おおー。なるほど。ふむふむ」


「何もなくてよかったです……」


 美桜が安堵のため息をつく。


「それじゃ次は魔力譲渡を試してもらってもいいかな?」


「わかりました。それでは手をお借りします」


 舞夜が手を差し出すと、美桜は両手でふわりと包みこんだ。


 目を瞑って真剣な表情を浮かべている。


 しばらくすると、美桜の手のひらから舞夜の身体へと、魔力が少しずつ流れ込んでゆく。


「わーなんか不思議な感覚。温かくてぽかぽかする液体が身体の中に染み込むっていうか。

 魔力ってこういう感じなんだね~!」


 ・舞夜ちゃんニッコニコで草

 ・はじめての攻撃受けるときだいたい笑顔

 ・魔力レポすこ


「魔力譲渡のときってどんなこと考えてる?」


「えっと……? 魔力が私の手を伝わって相手に流れ込む感じ、でしょうか」


 美桜は質問の意図がわからず、少し考えながら答える。


「私の感覚だとね、手を握られているうちにだんだんと魔力の質が変化していった気がしたんだ。

 これってさ美桜ちゃんが無意識に魔力の質を譲渡相手に合わせてるんじゃないのかな?

 もう一度、私の魔力の質に合わせるのを意識してやってみよっか」


「やってみますっ」


 再び舞夜の手を両手で包んだ美桜は、舞夜に言われた通り、魔力の質を変化させるイメージを持って魔力譲渡を行う。


 効果は劇的だった。


 本来であれば魔力を譲渡するのにしばらく時間がかかるのに、今回は手を繋いでほんの少しの間で譲渡することができている。

 

 まるで、二人の魔力が共鳴し合うかのように、スムーズかつ自然に。


「おお! 美桜ちゃんすごい! すぐに流れてきたよ!」


「……こんなに効率化できるなんて。」


 美桜は自信の手のひらを見つめて目をまん丸くしていた。


 ・さっきは数分かかってたのが数秒ってえぐw

 ・この速度なら戦闘中でも余裕だな

 ・極大魔法連続ブッパとかいうロマンが叶うのか?


「あ、ありがとうございます! 舞夜様のお陰で戦闘中でもみんなのサポートができそうです……!」


 美桜は心の底から嬉しそうに舞夜に何度もお礼を告げる。


 これまでは魔力の譲渡を行うタイミングは戦闘が終了してからであった。


 戦闘中にしばらく動けないのは致命的だったが、これからは戦闘中であっても少し触れているだけで十分効果が発揮されるのだ。


「ん? 今のはただの小手調べだよ?」


「えっ!?」


 ・もう終わりかとw

 ・これから本番ってコト!?

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