一般通過JK、D級岩山ダンジョンへ挑む①
「こんにちはっ! ここがどこだかわかる人~?
はい、D級の岩山ダンジョンです!」
・正解言うのはやw
・雑になってきてて草
・ついにD級きたかー
・またあっさりクリアしそうww
ダンジョンの名称通り、あたり一面岩ばかり。
道端には巨大な岩が乱雑に積み上げられている。
D級からはモンスターのドロップや採集によってアイテムを得ることが可能だ。
低ランクということもあり鉱石はほとんど価値はないが、小遣い稼ぎ程度にはなるため上位ランクを目指すことを諦めた探索者が鉱石目当てで潜ることも少なくない。
舞夜はダンジョン攻略しか見えていないので、つるはしや採掘道具などは一切持っていないm。
いつも通りドローンと少量の資材を格納できる安い初心者向けアイテム袋のみ。
「今回はちょっと苦戦しそうなんだよね~」
言葉とは裏腹に舞夜は楽しげだった。
「さっそく第一モンスター発見!」
・プチゴーレムか
・ちっこいけど硬いし強いんだよな
・素手じゃきつくね?
・舞夜ちゃんなら砕けそうw
「とりあえず、おりゃっ」
舞夜と同程度の大きさのプチゴーレムに先手必勝とばかりに突きをお見舞いした。
「痛っああああっ! 治癒治癒」
すぐに舞夜の拳が緑のオーラで覆われて、ゆっくりと回復されてゆく。
・マジか
・意外すぎる結果w
・いや岩殴り倒せるような女の子いないしこれが普通だろ
・お前ら感覚麻痺しすぎw
・衝芯って技使ったの?
「衝芯当ててみたはいいけど全然効果ないみたい。
もともと対人想定のみの技だからゴーレムみたいな無生物相手にはきついね」
衝芯は衝撃を浸透させて内臓破壊を目的とする技である。
エリゴブのように表皮が固くても生物であれば、内臓を持っている以上十分に効果は発揮される。
だが、無生物相手では浸透させたところですべて岩でしかなく、本来の効果がほとんどでていなかった。
「さてどーしよっかなぁ」
・鈍足だし逃げようぜ
・気の操作でワンチャン
「んー試してみたいことあるからやってみていい?」
・なになに
・いいよー!
・なにが始まるんです?
・新技くるか…!?
「あっごめんね新技じゃないんだけど……。
せっかくだし前回の配信じゃ話せてない深いところまでみんなに教えちゃおうかな」
・助かる
・いいの!?
「衝芯ってどんな技だったか覚えてる?」
・もちろん!重さを使うんだよね
・理屈はわかるけど試してみたら全然できんかったわ
・忘れちゃった
・一言一句覚えてます!
・こわ…
「コメントしてくれた人ありがとう~。
天御心流ではね、想起っていう概念があってね。
たとえば水滴が水面に落ちると波紋が広がるでしょ?
これを衝芯を打つときに想像して、相手の肉体でも同様の事象を起こせるって信じるの。
するとねただの打撃じゃなくて内部に浸透するような効果が出るんだよ」
・イメージで効果が変わるってこと?
・うーんほんとか?w
・にわかには信じがたいけど舞夜ちゃん実際やってるしな…
「そんな大げさに考えなくても、スポーツする人は試合前にプラスのイメージすると思うんだ。
スポーツに限らず発表前とかって成功するイメージしてから望んだりするでしょ。
それと一緒だよ」
・あーそう言い換えるとわかったかも
・部活でテニスしてるからしっくりきたw
・ワイ陰キャ、スポーツも発表もしないからわからない模様
・草
「で、本題!
プチゴーレムはもう完全に人と構造が違うじゃん?
だから想起の方向を変えてみたらどうなるかなって思いついてね」
そう言って、鈍重な動きで舞夜を追いかけているプチゴーレムに顔を向ける。
これまでリスナーと話している間、ずっと距離を保ちながら舞夜は歩いていて、プチゴーレムは必死に追いかけていたのだ。
舞夜は目を閉じ、呼吸を深くした。
意識を集中させて、己の深いところに入り込み想像を固めていく。
わずかな水滴が岩の表面を穿つ情景を思い描く。
そして、プチゴーレム相手に同じ事象が起こせるのだと信じ込む。
舞夜は目を開けて、静かにプチゴーレムを見据える。
全身を脱力させて、身体の重みを意識して踏み込んだ。
「おりゃあっ!」
舞夜の拳がプチゴーレムに触れる。
先ほどと違って舞夜の身体へ威力の戻りはない。
プチゴーレムの動きが止まった。
舞夜の拳が直撃した胸の中心から、ヒビが入る。
徐々に大きな亀裂となってプチゴーレムは砕け散った。
・うおおおおおおおおお
・やばすぎワロタ
・すげええええええ
・ないす!!!
・マジですごいな舞夜ちゃんw
「ふーっ、すっごい集中したから疲れた~」
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