一般通過JK、打ち上げ配信をする

「昨日の配信見てもらえたかな? まだの人はアーカイブあるから見てくれると嬉しいな!」


 ・10回見たぞ

 ・これから見ます!

 ・こんちゃー

 ・今日は自宅で配信?


「打ち上げ配信ということで、まずはこれ! はいドン!」


 舞夜はボスドロップをカメラに掲げた。


 映し出されたのは古びた腕輪だった。


 緑がかった金属に緻密な文様が刻み込まれている。


 ・ボスドロあったんだ

 ・モブで現れるエリゴブのドロップとは違うみたいだな


「鑑定してもらったところ、ななななんと! "エリートゴブリンの腕輪"でした!!」


 ・うおおおおお

 ・すげええええええ

 ・エリートゴブリンの腕輪ってなにw

 ・いやわからん

 ・誰も知らなくて草


「ふふふ、めっちゃすごい効果なんだよ? びっくりしすぎないようにね」


 リスナーの期待を煽るように舞夜はにやにやとしている。


「これ装備して平原ダンジョンに潜ると確定でエリゴブと戦えちゃうんだ!」


 ・おー…

 ・レアボス固定って能力初めて見るな

 ・すごい、のか?


「どうやって使っていくのかは乞うご期待ってことで。それでボス戦は楽しんでくれたかな?」


 ・めちゃめちゃワクワクしてみてたよー

 ・最高だった!

 ・頭パーンえぐすぎて笑い止まらんかったw


「正直負けたと思ったから勝ちきれてよかったよ。あ、そうだ。SNSで告知してたスライム募集送ってくれたかな?」


 スライムというのは匿名質問サービスの名称である。


「ちょっと見てみるね。おお! 結構来てるじゃん!」


 ・送ったよー

 ・色々聞きたいことありすぎるんだがw

 ・俺のよんでくれー


「えーっと、まず1つ目。わたしの戦い方に関して気になってる人が多いみたいなので似てる質問についてまとめて答えていくね」


 ・ボス戦のとき初心者とは思えない余裕があったよね

 ・頭パーンの技気になるw


 舞夜は画面に流れるコメントを眺めながら質問に答え始めた。


「実はね、天御心流っていう古武術を習ってたんだ」


 ・天御心流?

 ・聞いたことない

 ・古武術ってロマンあるなかっけえ


「まー知らないよね。お父さんの代まで一子相伝の技術として伝承されてて。時代の流れとか考えて今は一般公開されてるんだ。

 だから天御心流っていう名前がついたのもお父さんの代ってこと。技術自体はずっとずっと昔から続いててその頃は口伝だけでわかりやすい名称とかなんにもなかったんだって」


 ・ググっても出てこないね

 ・一子相伝って現実にもあるのか


「公開したって言っても町道場くらいしかないからネットじゃ出回ってないと思うよ。でね、なんで探索者になったの? って2つ目の質問の回答につながるんだけど。

 せっかくの技術が失伝したらもったいないじゃん! って思って配信を通じて少しでも興味持ってもらって次の世代へ伝えていけたら素敵だよね」


 舞夜は凛とした表情で天御心流への想いを語る。


 普段の明るくマイペースな顔とはまた別の武術家としての顔であった。


 ・真剣な目にドキっとしちゃった

 ・応援してる!

 ・天御心流もっと知りたくなってきたわ


「みんなありがとう! 天御心流についても別に配信枠とれたらいいなーって思ってるから待ってて!

 それじゃ今日はこのへんで、答えられなかった質問はまた別の機会にでも! 次回の配信はまたまたダンジョンに潜る予定だから楽しみにしててねーっ」


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