一般通過JK、VS エリートゴブリン①
「せっかくなんでボス戦挑むことにしたよっ! みんなも応援してくれー!」
・は?マジかよw
・初心者特有の蛮勇ってやつやな
・がんばれ!やられる姿みたくない!
舞夜はコメントを見ることなく気を引き締めて、ボスの動きに神経を尖らせる。
エリゴブは舞夜を視認するなり、雄叫びを上げた。
舞夜はお腹がびりびりと震える感覚に思わず足を止める。
次の瞬間、エリゴブは舞夜めがけて一直線に駆け出していた。
筋骨隆々な身体のせいで威圧感は本来の背丈以上だ。
しかし、舞夜は冷静だった。
舞夜の瞳には一切の動揺もなく、エリゴブの挙動をつぶさに観察している。
・避けて!
・やばいやばい
・あの巨体で速すぎだろ
舞夜の顔めがけて振るわれるエリゴブの拳。
あろうことか舞夜は一歩踏み込んで懐に入る。
振るわれた拳は空を切った。
懐に入った舞夜は小さな挙動で拳をエリゴブのみぞおちに叩き込んだ。
生物を叩いたとは思えない硬質な音が響く。
バックステップで距離を取ったのは舞夜だった。
エリゴブは腹をひと撫でして醜悪な笑みを作る。
・うわー完璧に入ったのに無傷かよ
・硬すぎて草
・ステータス差がえぐいな
・……いやそれより舞夜ちゃんの体捌きやばいぞ
「いったぁ~。岩殴ってるみたい、反則でしょその硬さ!」
右手の拳をさすって、エリゴブを睨みつける。
数度の攻防、蹴りを食らわしても結果は同じ。
結局のところ、舞夜の力ではエリゴブの表皮を打ち破るほどの威力がないのだった。
ここまで舞夜はエリゴブに触れられてすらいないが、コメント欄はどんどん盛り下がってゆく。
・死に戻り確定やな~
・即死ならまだマシだけど下手に生き残るとくっそきついぞ
・まだ舞える!がんばって!
ダンジョンで死亡しても実際の命を失うことはない。
だからといってリスクのある探索は推奨されていない。
痛みはリアルだ。
死に戻りを経験した探索者が、ダンジョン探索を諦めることは少なくない。
物理的に問題なくてもその精神は多大な負荷を受けてしまうから。
リスナーの心配を他所に舞夜の戦意はむしろ高揚していた。
口元には笑みまでこぼれている。
「ふむふむ。まともな打撃は通じなそうだね~」
気楽な様子で舞夜は笑みを浮かべる。
「それじゃこれはどーかなっ!」
繰り返しのようにカウンターの形でエリゴブの腹を突く。
しかし、結果は先程とは異なっている。
エリゴブは膝をつき、動けない。
明らかにダメージを食らったようで、咳をすると口から血が溢れた。
「さすがに効いたでしょ?」
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