対話 ~ 補完と云ふモノ

姉「ね、この桜、綺麗だね」

僕「うん、お姉ちゃん」

姉「あらまぁ、見つめてるのはお花だけかしら?」

僕「/////」

姉「これね、アOゾンさんで頼んだの」

僕「知ってる」

姉「御覧の通り、3本入りで1500円切ってた。すごくない?」

僕「春まで待てばよかったのに」

姉「今書いてるファンタジー小説の小道具としても買ったのよ」

僕「あぁ、道理で桜に関する本を頼んでたわけだね」

姉「あらっ、画面見てたのね!(怒)」

僕「ご、ごめん…なさい」

姉「ふふ、いいのよ。お姉さんは心が広いからね」

僕「(や、優しい…)──それで、いつ届くの?」

姉「週明けになるかなぁ。あなたも読みたい?」

僕「気になる、気になる」

姉「そういやあなたは昔から何かしらの蘊蓄が好きだったよね」

僕「うんうん」

姉「知ってるかもだけど、桜前線を追っていくと日本横断ができるみたいなの」

僕「え、そうなんだ。春にしか咲かないと思ってた」

姉「たとえば北海道では5月くらいに咲くそうよ」

僕「ふぅん」

姉「でも、結局、咲いては散っちゃうからね」

僕「そうだね」

姉「でもこの造花なら、風化するまでほぼ半永久的に咲いたままだからね」

僕「ずっと眺めていられるね」

姉「そうね、あなたと "一・緒・に" こうしてお話もできるしね」

僕「お、お姉ちゃんと /// 一緒に…… /// 」

姉「うふふ、今日は今から何しようかしら」

僕「き、期待しちゃう」

姉「あらまぁ、悪い子ですねぇ」

僕「///」

姉「冗談はそれくらいにして…っと、例の新曲、出来たんだって?」

僕「うん。でも、どこかの誰かの曲に似てる気がしちゃってて」

姉「いわゆるパクリ問題ね」

僕「そうそう。で、詳しい先生が来るから、音源を聞いてもらったんだ」

姉「どうだった?」

僕「大丈夫だって」

姉「よかったぁ!」

僕「ただ、連続して3曲ほど作ったのを全部聞いていただいたんだけど」

姉「うん」

僕「もっともっと引き出しがあればいい、て指摘はされたね」

姉「そう? じゃあ、お姉ちゃんも聞いてみようかな」


──姉、リスニングタイム──


姉「ほんとのこと言って怒らない?」

僕「なんで怒ると思うの」

姉「お姉ちゃんもね、先生と同じ意見かもしれない」

僕「ほう」

姉「とくにこのAとBの曲、ノリとメロディの動きがそっくりじゃない?」

僕「やっぱりそうかー…」

姉「ひょっとして、短期間で二つ仕上げたのかな?」

僕「どうしてバレた」

姉「あと、先生、インプットが大切っておっしゃってなかった?」

僕「うん」

姉「引き出しの中身は多いにこしたことはないからね」

僕「確かに」

姉「型破りなメロディは歌いづらいし、かといってベタな打ち方も似てくるし」

僕「難しいね。お姉ちゃんは、聞いてどう思った?」

姉「今までの曲でいちばんかっこよかったよ」

僕「へへ、そうかな」

姉「あとはね、私の先輩が言ってたんだけど──その方は物書きの人でね」

僕「うん」

姉「一通り執筆して、最後に『了』と書けたらそれで良いんです、なんだって」

僕「そういや僕も最初に12万字を、って課題をもらったよ」

姉「ワイヴァーンのお話ね。結局ボツにしちゃったんだっけ」

僕「王女様と結ばれる作品が結構あったからね。被るのも嫌だし、お蔵入りだよ」

姉「私は素敵なラブコメだと思ったけどなぁ、もったいない」

僕「僕、嫌な作品が出来たら破壊する派なんだ」

姉「お姉ちゃんは違うな。いつか活かせるときがくるから、それまで寝かせるの」

僕「寝かせる…今晩も、お姉ちゃんに、御伽噺で寝かせてもらおうかな、へへ」

姉「まぁ、いけない子ねぇ」

僕「/////」


そしてまた桜を眺め、語りを続ける二人であった。

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