第7話 戦後処理と説明って面倒くさいよね
「……ん、」
目を覚ますと、そこは幾度となく見た天井だった。
「烈人!」
ベッドに横たわったままの烈人の身体をヒカリが抱きしめる。
「ヒカリ……そうだ、身体は!?」
「私は大丈夫。……それをいうなら烈人はどうな
の?」
「え……いや、大丈夫だとは思うけど。」
ヒカリ曰く、あの変態爬虫類を倒してすぐに倒れ、ヒカリ達が運んでくれたらしい。自分の記憶には全くないのだが。
「そういやレニアは?」
「え?あぁ、ほらそこに。」
ヒカリが指差した方を向く。
だが何もない。
「え?どこ?」
「ほら、下、下。」
下を向くと、いた。
確かに床に頭が刺さったレニアだ。
……床に頭が刺さったことはもう触れないぞ、俺は。
レニアを引き抜き、床を直させてから事情を聞く。
「……それで、この一件の騒動はどういうこと
だ?ちゃんと説明してもらうぞ、レニア。」
「分かっていますとも。と、言うわけで先ずはこれ
を。」
プロジェクターのような半球の機械を床に置く。
操作すると、青白い光が空中でディスプレイになった。
「まずはゼクリフォスからです。彼らが人の活動力
の源たる、精神エネルギーなどを狙っているのは
理解していますね?」
「ま、まぁ。」
「彼らはそれ以外にも、人の容姿などからもエネル
ギーを吸収できます。服装もファッションつまり
モチベーションに繋がるものですからね。」
「それで?そのゼク……なんたらの目的ってある
の?」
ヒカリの問いにレニアは機械の操作で答える。
「これを見て下さい。」
「これは……地球?でも色が……」
写し出されたのは地球。だが、明らかにおかしい。
色がない。いや、無機質な灰色に変色していた。
「これは、人の精神エネルギーを吸収され尽くした
世界の地球です。」
「「!?」」
これが、人の精神エネルギーを吸い付くした世界線の地球だとは思ってみなかった。
「案外、星というものは精神エネルギーを核として
動いているものです。この星には、まともな生命
はおろか、植物一つありません。」
「そ、そんな……」
更に機械を操作すると、今度は烈人の右腕に装着されている、マテリアルレイカーと、変身したときに着ていたボディスーツが写し出される。
「ですが、それを防ぐ為の技術を世界の崩壊とほぼ
同時に開発しました。それが、マテリアルレイカ
ーとエレメンタルスーツです。」
烈人はマテリアルレイカーに目を向ける。
「これが、対抗策……?」
「確かに変身?はしてたけど……」
「マテリアルレイカーを使って変身することで、マ
テリアルスーツを装備した、戦士になることがで
きます。烈人君に渡したのはこれです。」
ゴソゴソとどこからともなくバーンレッドのスーツを取り出す。
「これは一番最初に開発した試作型のプロトスーツ
です。判別コードは『フレイム01レッド』で、名
前の通り炎を……」
「待って。」
ヒカリがレニアの説明を遮る。
「どうしました、ヒカリちゃん?」
「ずっと思ってたんだけど、このスーツ、女物よ
ね?」
「え?ま、まぁ」
「もしかして、最初から烈人を『そうさせる』気だ
ったんじゃないの?」
ビックゥ!
レニアの身体が陸に上がった魚のように跳ねる。
「い、いやぁ、これには訳が……」
「へぇ……聞いてやろうじゃない」
その言葉とヒカリが裏腹にボキボキ、と拳を鳴らす。よっぽどいやだったんだな、あの長い説明。
「……わかりました。白状します。
私はロリコンです!」
「開き直ってんじゃねぇぞボケェェェェ!」
ヒカリのジャーマンスープレックスが炸裂し、床に穴が増えたのだった。
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