第2話 魔獣モライルの討伐

「すみません。船貸屋ふねかしやはどのあたりに出店しているか教えていただけませんか?」


 俺は、ジェイドさんと行き違いにならないように港で待機することにした。船を出してくれるお店が並ぶエリアで待っていれば、きっと会えるはずだ。

 

 港で買った魚のフライが入ったサンドイッチを食べながら、道の端っこに寄って行きかう人々を眺める。ジェイドさんはガタイも良いし、背も高いからすぐ見つかると思うんだけどな。


「銀髪で褐色肌の……あ、いた」


 ジェイドさんの顔を思い出しつつサンドイッチを丁度たいらげた頃、大剣らしきものを背負った青年の後ろ姿がちらりと見えた。俺は、急いで荷物をかかえてそのうしろ姿を追いかける。


 キョロキョロとあたりを見回すと、ちょうど船貸屋の店主に声をかけようとしているところが目に入った。顔がはっきりと見えて、確実にジェイドさんだとわかった俺は慌てて名前を呼ぶ。


「ジェイドさん!」

「レノさん?なんで港に」


 急に声を掛けられたことに多少驚いたようだが、ジェイドさんは表情をあまり変えずにこちらを見た。俺は悩んだ末にここへ来たことや魔獣の予習はしてきたこと、そして魔法道具をもってきたことを伝える。


「これとか使えると思うんです。獲った魔獣の血抜きが一瞬でできる吸血魔石と、纏えば姿だけでなくにおいや音も消してくれる隠蔽マント。それからあとは」


 足手まといだと思われないように次々とリュックサックから魔法道具を取り出して見せていく。そんな俺を見て、ジェイドさんはふっと小さく笑った。


「ふっ。すみません。アイテムボックスみたいにどんどん物が出てくる様子が面白くて。契約違反の可能性があるなんて考えていなかったので、来ていただけるなら助かります」

「いやあ。今回はグレーゾーンだとは思うのですが、すみません。俺、心配性で。足手まといにならないように気を付けますね。怪我しても放っておいていいので!」


 討伐の邪魔になってしまえば元も子もないので、俺はひっそり隅で大人しくしているつもりだ。

 

「足手まといなんて思いませんよ。あと、報酬はやっぱり半分にさせてください」

「いやそんな!気を遣わないでください」


 そんなつもりで来たわけではないし、全然戦えないのに半分も報酬をもらうわけにはいかない。俺が慌てて否定すると、ジェイドさんは首を横に降った。

 

「いえ。別に気を遣って言っている訳ではないんです。レノさんのおかげでクエストを受けられましたし。それに報酬を独り占めするのは、性に合わないので」

「ですが……」

「お願いします。レノさん」


 なっ。そんな曇りなき眼で見つめないで欲しい。昨日の誘いもそうだが、ジェイドさんは断れない空気感を出すのが上手すぎる。もはや圧を感じるのだが天性の才か?


「じゃ、じゃあ半分はさすがに多いので三割くらいで……」


 三割ならここまでの交通費と、これから借りる船代を俺も出せばトントンになるだろう。ジェイドさんは心なしか不服そうだが、これ以上お願いされない内に俺は話を無理矢理切り替えた。

 

「あ、そういえば!船を借りるところだったんですよね」

「……あー、はい。でもどちらの店を選べば良いか悩んでしまって。とりあえず左の店に声を掛けようと思っていたんです」


 ジェイドさんはそう言って店の立て看板を指差した。金額は安く、簡単な釣り道具なんかも貸してくれるらしい。手頃な価格が売りなようだが、俺はいくつか気になる点があった。


「うーん。ちょっとそこまで釣りに行くならまだしも、今回そっちのお店はやめた方が良いかもしれません。金銭的に厳しければ仕方ないですが」

「金銭面は問題ないですが、理由を聞いても良いですか?レノさんって元々商業ギルドの職員だったんですよね。今後の参考に話を聞いてみたいです」


 参考にって、そんな大層なものじゃないんだけどな。まあ悪い気はしないしいいか。話してみよう。

 

「じゃあ俺の考えでよければ。例えば、看板の内容を隣の店と見比べてみましょうか。最初に選んだ店は、価格が安いうえに釣り道具や備品の貸出までついてくるので、一見お得に見えますよね」


 俺がそう言ってジェイドさんの顔を見ると、彼はうんうんと真剣な眼差しで頷く。その様子はやっぱり従順な大型犬のようだ。昨日も思ったが一見無愛想なジェイドさんは、接してみれば実は素直な青年でちょっと犬っぽくて妙な愛嬌がある。末っ子とかなのかな。

 

「価格だけ見れば手頃ですし、とにかく安ければ良いって人には十分だと思います。ただ、船のグレードを一切表示していないのでそこが気になるなあと」

「グレードですか」

「はい。で、対して隣の店は高めの価格設定に感じますが、船のグレードごとに価格が分けられているので、目的ごとにどのプランを選べば良いか明確ですね。あ、保険や備品もオプションでつけられるみたいですよ」


 看板を指差しながらそこまで説明してみて、一旦ジェイドさんの顔を見上げるとキョトンと首をかしげていた。見るからに強そうな青年のその仕草は、ミスマッチでちょっと面白い。

 

「な、るほど?」 

「ははっ。えーっと……では身近なお店で例えてみましょうか。仮に防具屋を選ぶ時、一式5000Gとだけ記載されているお店があるとします。そういうお店の商品って大抵は初心者向けだったりしませんか?」

「はい。自分に合う防具が分からない初心者とかお金がない冒険者は、そういう店で買いますね。でもやっぱりそれなりの質なので、すぐに買い換える羽目にはなりますが」


 身近な防具の話に切り替えたからか、ジェイドさんは頭上に浮かべたハテナを消してスラスラと答えた。これならうまく伝わりそうだ。


「ですよね。手頃な店のおかげで助かる場合もありますが、長い目で考えるなら多少高くてもグレードを細かく選べたり、自分に合わせたオプションをつけられる方が良いと思うんです。もっと言えば、それが明示されているお店なら安心だなって思いません?ぼったくりのお店もありますし」

「そうですね。防具選びはケガや生死に関わるものですから……あ、そういうことか」


 話しているうちに頭の中が整理されたのか、ジェイドさんは腑に落ちたような顔で俺を見た。

 

「新規客も沢山くるようなこの港で、アピールポイントとなる船のグレードを宣伝しないなんてことは基本的にありえません。おそらく船は一種類しかないか、その時に余ってる船を貸すってところでしょう。船のグレードは一か八かって感じですね。たぶん」


 紹介制の高級店なら多くを書かない看板も見かけるが、今回の立地的にはどう考えても当てはまらない。この港は観光客や俺達のような庶民も多くやって来るのだ。自分のお店がいかに優れているのか宣伝しなくては、商売にならない。


「それと……」


 俺は周りに聞こえないように、少し声を落として話しかける。


「店の周りや奥の方をよく見てみてください。あのように商売道具を雑に扱ったり、書類を周囲の人の目に入るような場所に置いたりする店はやめた方が無難です。商人としても、船乗りとしてもあまり信用出来ませんから」


 さっき看板を説明しながら気付いたのだが、船の手入れに加えて、顧客名簿らしきものの雑な扱いがかなり気になる。ちょっと釣りをする程度でも俺なら選びたくないお店だ。


「この短時間でそこまで気が付くのですね。魔獣の予習もしてきたって言っていましたし……レノさんって仕事を真面目にきっちりこなすタイプですか」


 あ、やってしまった。つい、後輩職員に教える調子で細かい説明までしちゃったな。対冒険者の場合は簡潔にはっきりとが鉄則だと知っていたのに、ジェイドさんがじっくり真剣に聞いてくれることにつられて話しすぎた。

 

「すみません!長々と。気をつけてはいるのですが、つい深く考えてしまう癖が抜けなくて。友人にも真面目すぎだってよく言われていたのですが……ははは」

「真面目に仕事をこなせるって良いことでは?あ、レノさん。お勧めしていた方の店、今ちょうど空いていますよ。早く行きましょう」

 

 驚いた。てっきり長話と細かい説明を面倒がられるかと思っていたのに、そんな風に言ってもらえるとは想定していなかった。


「レノさん?」

「すみません!俺も今行きます」

 

 拍子抜けした俺に一声掛けて、ジェイドさんは店へ突き進んでいく。疑いなく俺が勧めた方の店に向かうそんな姿を見て、なんだか少し嬉しいような気恥ずかしいような気がした。



***


 

 問題なく船を借りることが出来た俺達は、早速出発してもらった。船長の話では、魔獣モライルが出現するのはちょうど今ぐらいの時間なのだと言う。俺はその話を聞きながら、いよいよかと一人身体を強張らせながら船上でその時を待った。


「おい、兄ちゃん達!あれだよ。見えるか?」


 船長が突然大きな声を上げた。指差す方を見れば、船の前方に長く大きな黒い影がうっすらと見える。まだ少し遠い位置にいる上、影なのではっきりとはわからないが、体長は160㎝くらいありそうだ。


「本で知ってはいたけど、あんなにデカイのか」


 船長の話では、近頃モライルのせいで漁がままならないらしい。網や仕掛けが食いちぎられるのはまだ良い方で、素潜り中の人間を襲う性質は一番たちが悪いという。実際、船長の友人も大ケガを負ったそうだ。そのことで船長は個人的にモライルに怒りを感じており、今回自ら船の貸出に名乗り出てくれた。


「でけえだろ。本当は若いもんにも船を出させたかったが、みんなビビっちまってよ。許してやってくれ」

「いえいえ。私も正直、今怖いので」

「はっは!正直なのは嫌いじゃないぜ。ま、俺が舵を取ってんだ。身を乗り出さなきゃ喰われはしねえよ」


 船長は港の中でも有名なベテランの船乗りらしいので代金はちょっとお高めだ。しかし、安全性を考えれば背に腹は代えられない。というか、他の船乗り達は怖がって船を出したがらなかったのでそもそも選択肢はなかった。


「船長。さっき言ってたあれ、借ります」

「おう!遠慮なく使いな」


 モライルの影に近づいた頃、ジェイドさんは出発前に船貸屋から借りた短めの銛を取り出した。船長に一声掛けて、その銛に縄をきつく結び付けると俺の方を振り返る。


「レノさん、今から一気に船のスピードが出ます。どこかにしっかり掴まっていてください。船長、舵取りは任せます」


 俺と船長はそれぞれ頷く。ジェイドさんはそれぞれ位置についた俺達を見て、狙いを定めるように銛を構えた。


――ヒュッ


 銛は風を切り、獲物であるモライルらしき影の前方部分に引っ掛かるように刺さった。と、思った瞬間ぐんっと船はスピードを上げる。銛が刺さったことに驚いたモライルが一気に引っ張った影響だろう。急に速度が上がったことで船は大きく揺れ、海水が少し船に入ってきた。


「わああっ!」


 ひっくり返る!と腕に力を入れて、思わず俺は目をつぶった。しかし、そこは流石ベテランの船長。舵を取り、あっという間に船を持ち直してしまった。スピードは先程と変わらないため多少の揺れはあるが、かなり安定している。やっぱりちゃんと店を選んでおいて良かった。


「レノさん、大丈夫ですか!」

「はい、なんとか!お、おわっ。だ、大丈夫ですー!」

「あともう少し耐えてください!」


 激しい波に掻き消されないよう大声で会話すると、ジェイドさんは縄をできる限り短く持ち直し、一つ大きく深呼吸をした後に腰を入れて勢いよく引っ張った。


「う、うわ……」


 ジェイドさんが後ろへ引っ張ると、銛の返しに深く刺さったモライルの頭と上半身が一気に持ち上げられた。今まで海中にいてわからなかったが、まるでオニキスのような漆黒の鱗にギョロリと動く赤い眼、そして無数にある鋭く尖った歯は本で見るよりも恐ろしい。正直、もう一度海の中へ戻して欲しいくらいだ。


「怖っ。というかあのでかいモライルを、一人で持ち上げるジェイドさんってすごいな」

 

 モライルはジェイドさんに持ち上げられたことによって泳げなくなったため、次第に船の速度が落ち着いてきた。おかげで船の揺れも穏やかだ。


「船長、しばらく船はこのままでお願いします」

「おう。任せな」


 ジェイドさんはなんてことない様子で船長へそう伝えると、モライルが海中に潜ってしまわないように、縄を引いた状態で何かを待ち始めた。すると全身の鱗がだんだんと逆立ってくる。


「硬化を待っていたのか。ん?でも硬化したら、討伐の難易度があがってしまうんじゃないか?」


 俺は今朝読み漁ってきた本のうち、魔獣の解説本の内容を思い出した。確かモライルは、敵を見つけた時や刺激された時に鱗を逆立てて、自身に硬化の魔法をかけるはずだ。すると身体は石のように硬くなるため、剣で切り傷をつけることすら出来なくなる。


 ちなみに今回の場合は最初に銛が刺さった後に一度硬化しているはずだが、海面へ引っ張り上げた時には全く硬化していなかった。モライルはしばらく船を引っ張り続けていたので、その間に一度魔法が解除されたのであろう。魔獣といえど体力と魔力には限界がある。ずっと魔法をかけたままではいられないからな。


 それにしても、せっかく仕留めるチャンスだったのになぜわざわざ硬化させたのだろうか。よくわからないが、ジェイドさんの様子をみる限りあれは明らかに意図的だ。


「船長。モライルを硬化させるのって、討伐の裏技だったりしますか?」


 俺は、速度が穏やかになった隙に一息ついている船長に尋ねた。


「ん?やわっこい内に仕留める方が楽だぜ。港の漁師達が獲れるような小さいやつでも、硬化されちゃあ手に負えねえからな」

「そうですよね」

「いや、待てよ。あの兄ちゃん……がっはっは!あとでなんで硬化させたか直接聞いてみな」


 船長は何かに気付いたようで、ジェイドさんのことを気に入ったと大きく笑った。何がお気に召したのかわからないが、結局答えを聞けなかった俺はおとなしく討伐の行く末を見守ることにする。


「お。だんだん動きが落ち着いてきた気がする?」


 モライルは陸上でも多少は呼吸出来るはずだ。しかしずっと船を引っ張っていたうえに、無理やり持ち上げられて弱ったのか口をはくはくと開け閉めし始めた。


 このまま力尽きるのを待つのだろうか?と眺めていると、モライルが口を大きく開けた瞬間、ジェイドさんは大剣を口内めがけて素早く突き刺した。


「おおっ!」


 片手でブレなく真っ直ぐ突き刺した剣さばきに、俺は思わずひとり拍手した。なるほど、硬化したとて口内や身体の内側は柔らかいままである。対して外側は硬化しているため、剣は身体を突き破らず綺麗に突き刺されていた。


「あの兄ちゃんすげえなあ。あれ、内臓もほとんど傷付けてねえと思うぞ。綺麗に真っ直ぐ刺さっとる」

「あの大剣で、そんな細かい剣の使い方を?すごいですね!」


 ジェイドさんはモライルの硬化が解けた様子を見て、息の根が止まったことがわかると、ズルリと剣を引き抜いた。船長が推測した通り内臓を殆ど傷付けていなかったのか、血もあまり出ていない。俺と船長は驚きに目を丸くしながら、どんなものかと側に歩み寄ってみる。


 すると、その瞬間モライルの身体がうっすら光り始めた。よく分からないが嫌な予感がする。


「み、皆さん俺の後ろに!」


 俺は慌ててチェンジロッドを振り、三人が入るくらいの盾を作った。ただの鉄壁のようで不格好な見た目だが、初めて作ったので許してほしい。


――ヒュヒュッ

 

「うおおっ!ビビったー。なんだこれ、針か?」


 一瞬強く光ったと思ったら、モライルの尾びれから五本の針が飛んできて数本が盾に当たりその場に落ちた。針と言ってもモライル自体が大きいので、なかなかの太さだ。


「レノさん、船長、大丈夫ですか?!」


 ジェイドさんは俺の腕をがっしりと掴んで問い掛けてきた。盾を持っていた俺は無傷だし、船長にも傷は見当たらないので針は当たらなかったようだ。

 

「驚きましたけど大丈夫ですよ。ジェイドさんこそ大丈夫でしたか?咄嗟に盾を作ったので不恰好な形になってしまいましたし」

「不恰好なんてそんな。俺が無傷なのも、盾のおかげですし」

「そうよ。兄ちゃんのおかげだ。もやしっ子かと思ったがやるじゃねえか!ありがとうな」


 船長はにっかりと笑って俺の背中をバシバシと叩く。

 

「それよりすみません。俺の詰めが甘かったせいで、レノさんと船長を危険な目に合わせてしまって」

「いえいえ!俺も役に立てることがあって嬉しいです。それにしても、今の何だったんでしょう」


 討伐後に針が飛んでくるなんて、本には載っていなかったはずだ。俺が考え込んでいると、ジェイドさんが何かを閃いたように顔を上げた。

 

「このモライル、双石そうせき持ちかもしれません。息絶えた時に普段使われていなかった方の魔石へ過剰な魔力が流れて、意図せず針が飛んだのだと思います」

「ソウセキ?ああ!魔石を二つ持っている魔獣ってやつですね」


 双石持ちとは、通常一つしかないはずの魔石を二つ持っている珍しい魔獣だ。上手に二つの魔石を使いこなす強い魔獣もいれば、生前に一つの魔石だけを駆使した結果死後に意図せず魔力が流れて暴発する魔獣もいるらしい。どちらにせよ厄介だが、魔石が二つ手に入るというメリットはあるのでちょっとお得感はある。


「兄ちゃん達、良い相棒だなあ。会った時は正反対に見えたが、なかなか釣り合いがとれてるじゃねえか」


 ジェイドさんと俺が魔石について話していると、船長が何を思ったのかうんうんと一人頷きながらそう言った。


「そんなそんな!俺は全然戦えませんし、ジェイドさんの相棒なんて言える立場ではないですよ」

「いやな、何も相棒ってのは両方が同じ強さである必要はねえぞ。強さにも色々あるしな。互いに補って信頼してこそだ。そりゃあ勿論、両方強いってのもアリだけどな。がっはっは!」


 互いに補う、か。ジェイドさんを俺が補うとすれば、戦い以外の何かってところか?いや、流石に烏滸がましいよな。相棒という響きにはロマンを感じるが、現実的じゃない。ちょっと良いかもなんて一瞬だけ思ったが、片付けでもしながら頭を冷やそう。


 そういえば、なぜわざわざ硬化させたのか理由は聞けていないままだな。


「あとで聞いてみるか」


 俺は、モライルをアイテムボックスに入れるジェイドさんの後ろ姿を見つつ一人呟き、船内の片付けを続けた。

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