第7話 小説を書く三段階
私は小説を書く三段階理論を提唱している。
①企画
②準備
③執筆
まず、なぜこの三段階が必要なのかを書く。
創作者でない一般の方々は小説=ストーリーだと思っている方が多い。
「面白いストーリー=面白い小説」だとか、ストーリーの予想ができたから「すぐにオチが分かった」とかetcとにかくストーリーを中心に考えがちだ。
ここでいうストーリーを「あらすじ」くらいの意味で考えると
創作者の方ならわかると思うが「ストーリーくらいは誰でも浮かぶ」ものなのだ。
小説にとってストーリーとは原材料の一つであり、そこから小説を作る作業が必要なわけである。
漫画の世界でも「絵のうまさ」「ストーリーのうまさ」と別に「漫画のうまさ」がある。具体的にはコマ割りのうまさ、構図のうまさ、引きのうまさなどなど。
小説でも同じ。同じストーリーでも仕上げ方が違ってくる。
なので3段階をきちんと分けて考える思考が大事だと思っておるわけだ
では中身に入る。
①企画 作品のテーマ、コンセプト、モチーフを決める
②準備 ストーリー、キャラクターを決める
③執筆 文体、構成、演出、修辞法の選択
ざっとしたイメージだと①が1時間だとすれば、②が10時間、③が100時間くらいかかる時間が違う。
しかし、①が土台で②はその上に、③はさらにその上に乗っているピラミッド構造だと考えて欲しい。
具体化とは「削る」作業だ。
様々なアイデアの中から、テーマに沿ったストーリーとキャラクターを選び出す。
それが②の作業。
ストーリーやキャラクターとテーマの不一致を「ブレ」という。ブレを感じたらそれはストックに戻し採用しない。
出来上がったストーリーの『体積』は体感でいつも130%~160%だ(いわゆる裏設定のようなものを除いて)。無駄な30~60%を削ってきっちり100%に収まる文章を作っていく。
詳細は各論で。
①→②→③の順は原則として不可逆であり、中途半端に行き来はしてはいけない。
もし前段階に戻す必要があると思ったら、今ある『成果』は大胆に捨て去る必要がある。
継ぎ接ぎだらけの作品ほど無様なものはない。
公募作品と違って、連載作品は見切り発車も必要だ
だから、『ブレ』を見かける機会も多い。
それはそれで勉強になる。
登場させてみたもののあまり動かない登場人物や、生きない設定。
その作品のテーマとどう合っていないのかを考察してみるのも面白い。
漫画原作の実写が(作品として)失敗する大きな理由に「テーマ」のブレがある。
原作の『テーマ』に無理矢理、実写製作者の『テーマ』をぶち込むと起こる現象である。
実写製作者の『テーマ』には「家族愛」、「恋愛」、「懐古主義的な何か」が多い様に思う。万人受けを狙いたい魂胆が見える。
対して、人気作ほどに「テーマ」はエッジが効いている場合が多い。
読者は本来その部分に惹かれるのだが……
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