第3話 では伏線

伏線とは、物語上後で描かれる展開に備えて、それに関係する事実を前もってほのめかしておく手法をいう。


伏線が何のために必要かというと「あとで起こる意外な展開」を「単なる作者のご都合展開」にしないための仕掛け。

小説その他なんて全部作者の都合だろボケガァと叫びたくなる人もいるかもしれないが、これは美意識の問題である。何が美しいかに絶対的な答えはない。



伏線の特徴は

①作者がそれと分からない形で読者に提示することである。


作者がそれとわかる形で読者に提示するものを「前フリ」という。

前フリと伏線はそこが違う。


また当然ことであるが

②作者が伏線として描いたものだけが伏線


伏線ではないものとして「設定回収」がある。

特に後の展開を考えずに「散らした設定」を後になって、その描写を利用して次の展開を描くことである。


③前もってほのめかす

のが伏線であり、ミスリード(ミスディレクション)は伏線ではない。

ミスリード(ミスディレクション)は間違った展開を読者に予想させることで、後の展開に驚きをもたらす手法である。


伏線の張り方


伏線に関する描写は、「確かにその描写を覚えてはいるが、伏線とは気付かなかった」というのが最も効果的であり、そんな描写あったかな?という隠し方(目立たない伏線)は良くない。


①別の意味に偽装する


ある描写を読者には別の意味の描写として理解させる。

例えば「顔を真っ赤にした」という描写がその人物の恋心を表現しているのだと読者に思わせておいて、実は正体がゆでだこ星人であったという展開の伏線(なんじゃそりゃ)。


②ギャグや冗談に偽装する


「ポチだけだよなぁ、俺の気持ちわかってくれるの」と主人公の飼い犬と戯れ、いじけている友人がラストでポチと結婚する展開(意味不明だわ)。


③回収された伏線(あるいは前フリ、ミスリード)と思わせて別の展開に対する伏線であるパターン


「誘拐された子供の指が送り付けられる」→犯人は凶暴なやつ→「実は指は死体から採取したもので子供は無事」→一同安心→「じゃあ、その指は誰の指?実は…」という展開







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