第2話 伏線の前に導線

導線:作者が読者に提示する物語の進行する方向。主人公の目標であったり、読者に予想させる物語展開であたりする。


物語において導線はとても大事。

特に連載作品の場合、導線がしっかりとしていれば、しばらく離れていた読者でも続きを読もうという気になる。

導線は決して1本ではなく多層構造でもある。


例としてドラゴンボール(少年編)

長期展開の「ドラゴンボールで願いを叶える」・・・①と

短期展開の「次のドラゴンボールを手に入れる」・・・②

この2つが明確なので、どの部分からでも読み始める、読み返せる。


レッドリボン軍編

ここで主人公の目標は「じっちゃんの形見である四星珠を見つける」…③に代わる

しかし、①から、「悪い奴がドラゴンボールを集める→良くない目的で使われる→こ倒すべき敵」という構造が明確になる。

そして後半、主人公の目標は「ドラゴンボールでウパの父親を生き返らせる」に変化する。


レッドリボン軍編になり、①物語上の長期展開と③主人公の目標がいったんずれながら、最後また同じところに戻る、実に気の利いた構造である。



導線の効果はこれだけでない。「導線の裏切り」というテクニックである。

つまり、作者が作者が読者に提示した導線を、作者が否定する行為である。

世の中の「意外な展開」のほとんどは何らかの形で「導線外し」が使われている。


古典でいえば「オズの魔法使い」もラストで「導線の裏切り」がある。

つまり、主人公たちの目的はエメラルドの都にいる「オズの魔法使い」に願いを叶えてもらうことである。

しかし、「オズの魔法使い」の正体は、ただの老人であったというものである。

物語の大前提がすべて覆ってしまう。主人公はいわばスタート地点に戻ってしまうようなものだ。

これは、読者が導線を受け入れれば受け入れるほど、効果は絶大である。


例はいくらでもあるが重大なネタバレにもなるので控えておこう。

ハリウッド映画でも多用される手法である。

EX:「証拠の〇〇さえ手に入れれば黒幕の犯行を立証できる→○○など最初からなかった」


ただ作者の実力が問われるのが、そこからの切り返しである。

リセットボタンを押した後に、どうやって物語を完結へと導くか?



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