阿波踊りと俺①

今日は8月13日。

気づけば夏休みも中盤。

暑い日が続くそんな日に俺は…


シャーシャーシャー


かき氷を削っていた。


「もっともっと削ってーやー。」

「はい、仰せのままに。」


電動かき氷機がある時代なのにどうして手回しなのかって?

それはさかのぼること15分前…


『実家で電動かき氷機買ったけん前の手回しのやつもらってきた!』

『神!女神様じゃ!』


この暑い中、アイスを買いに行くのも無理!

そんなタイミングでかき氷機を持ってくる明莉さんはほんと女神に見えるよ!


『そしてコンビニで買ってきたこの大量の氷!さぁ!私の為に削るが良い!』

『あの…明莉さん?ちなみにシロップは買ってきてますでしょうか?俺の家にそんなものないのですが…』

『……買いに行こうか。』

『……はい。』


でシロップを買ってきて今に至る。

かき氷を自分で削るなんて小学生以来だな。

けっこう楽しい。


「はい!ストップー!そんでメロンのシロップどばどばかけちゃってー!それから練乳!」

「うっす!仰せのままにー。」


そしてできあがったかき氷第1号。

早速明莉が大きな口を開き、流し込んだ。

あぁ、それは…


「いったーい!頭キーンする!」

「そんなに一気に食べようとするからだよ。」


シャーシャー


俺は自分の分を削り始めていた。

そしてある程度で1回止める。

そこに俺はブルーハワイのシロップをかけた。


「そんだけでいいん?少なくない?」

「いいや、まだまださ。」


シャーシャー


さらにその上に氷を削る。

ある程度山になり俺はまたシロップをかけた。


「あー!いいなー!途中でかけるのうちもやりたいー!」

「ははは、やりたまえ、やりたまえ。」


それから俺たちはかき氷を食べながらゲームをした。


***


午後5時。


「あー!かき氷食って、ゲームする!最高の1日やん!晩御飯どするー?」

「んー。ほうやなぁ…」


と悩んでいるとふと思い出した。


「今日から阿波踊りや!」

「阿波踊り?阿波踊りって徳島県民みんな踊れるやつやろ?」

「まて、徳島県民だからって阿波踊りが踊れるわけじゃない。ちなみに俺は踊れない。」

「え!そうなん!?」

「せっかくだし見に行こうか。屋台も出てるだろうから晩御飯も屋台で食べよう。」

「はよ行こ!はよ行こ!」


***


阿波踊りの会場は徳島駅前。

この阿波踊り開催期間は徳島駅前はいつもよりすごい人だかりになる。

小さい頃迷子になりかけたのを覚えてる。


「あ!たこ焼き!たこ焼き食べよや!」

「ちょ、待って!はぐれるぞ!」


明莉はすぐに走っていく。

見失わないようにしないと。


「すごい人!それに太鼓の音がドンドンなっててめっちゃ体に響く感じする!」

「そうやろ!この太鼓が響く感じがめっちゃ好きなんよ!」


それからしばらく屋台を見て回った。


「明莉!焼きそばあるで!」


と後ろを振り向く。

だがそこに明莉はいなかった。

しまった、はぐれてしまった。

携帯は…

連絡しようとしたが人が多くて回線が混雑してて使えない!

くそ!早く見つけないと。

俺はすぐに走り出した。

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