たこ焼きとゲームと僕と

夏休みが始まり今日は悠星が僕の家に来ていた。

なんでも悠星にとっておきの作戦があるのだとか…


「それで?とっておきの作戦って?」

「それはだね…」


ごくり…


僕は唾をのんだ。

この夏休み期間が僕にとっての大きな転機だ。

そのとっておきの作戦は…


「それは…たこ焼きだ。」

「…は?」

「いやいや、だからたこ焼きだよ。野田さんは関西の出身だろ?野田さんの友達の中村さんがこう言ってたよ。」

『明莉のこだわりが強いところ?強いて言うならたこ焼きとかお好み焼きとかにうるさいところかな。タコパしたときは鍋奉行ならぬたこ焼き奉行になってたよ。』

「ってね。」


ま、まぁ、明莉さんの友達が言うなら間違いないのかもしれない。

…本当にそうか?まぁ、いっか。


「そ、それで?僕は何をすればいいのかな?」

「簡単だよ。たこ焼きをマスターすればいいんだ。」


またわけのわからないことを言い出したぞ。

たこ焼きをマスターする?

たこ焼きマスターとでもいうのか?

俺の夢はたこ焼きマスターになることってみんなに言うのか?


「それはつまりあれかな?明莉さんがたこ焼きが好きだから綺麗に焼けるようになればいつか役に立つかもしれないというものかな?」

「その通り!察してくれて助かるよ。さ!焼いていこうか!」


それから2時間ほど焼いては食べ手を繰り返した。

まぁ、僕が焼いて悠星がうまく焼けているか確認していたので僕一人で焼き続けたんだけど。


「どう?だいぶ上達したんじゃないかな?」

「うーん…まぁ、大丈夫じゃないかな。」

「適当だなぁ…実は悠星がたこ焼き食べたかったから言い出したとかじゃないよね?」

「そ、そんなことないさ!僕は君が少しでもたこ焼きを上手に焼けれるようになればと思ってだね!」

「ははは!悠星!わかりやすいよ!」

「ふ、ふん!ばれたなら仕方ないね!」

「悠星の焦ってるとこ初めて見たよ。」


なんてふざけながら僕たちは二人のタコパを楽しんだ。


***


たこ焼きを全部食べて僕たちはゲームをすることになった。


「ゲームなんて小学校の時ぶりだよ。久々にやると楽しいね。」

「それはよかった。一人でやっても楽しいし、協力してやっても楽しいゲームだからね。」


僕たちが今やっているゲームは敵を吸い込み敵の能力をコピーできる丸くてかわいい人気キャラクターのゲームだ。

僕もやるのは久々だったのですごく楽しかった。


「君はよくゲームをするのかい?僕は小学生でやめたから最近のゲームは全くわからないんだけど昔からのゲームもあるんだね。」

「うん、人気ゲームはずっと新しくなって出てるよ。いろいろ新しい機能とか増やして前にやってた人でも盛り上がれるように作られてるのほんとすごいよね。」

「…このゲームすごく好きだったんだ。」

「ん?そうなんだ。」

「キャラクターもかわいくていいよね。子どもでも簡単に操作できて楽しいし。」


悠星はこのゲームが本当に好きだったんだろうな。

思い出のあるゲームなのかもしれない。

僕も二人でゲームなんて久々だな。


「悠星、この夏休み中にまた一緒にゲームしようよ。」

「それは楽しみがまた増えたよ。この夏は楽しくなりそうだ。」


夏休みが始まってまだ数日。

二人でゲームをするのがこんなにも楽しいなんて。

タコ焼きを焼いてゲームをした。

なんてない日だけど僕は今日を忘れないだろう。





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