たこ焼きとゲームと俺と
夏休みがはじまり、明莉はしばらく実家へ帰省しているらしい。
俺は暇になって1人ゲームをしていた。
ピンポーン!
突如チャイムがなり明莉が帰ってきたのかと思ったが明莉なら鍵を持ってるのでちがうな。
除き穴をみると知らない男の人が立っていた。
とりあえず出てみるか。
「はい…」
「あ、いきなりごめんね。隣に住んでる
「あ、はい。」
前田と名乗った人は見た感じ30代ぐらいの人でちょっとシワが入ったシャツを着ている人だった。
「ホットプレートを持ってたら貸してくれないかな?」
「…はい?」
「たこ焼きを焼いてるんだけどホットプレートが壊れちゃってね…」
「まぁ、大丈夫ですけど。」
「ほんとに!?ありがとう!助かるよ。」
「ちょっと待ってくださいね。」
俺はキッチンの上にある棚からホットプレートセットを取り出してきた。
前に使ったのいつだっけ?
今度明莉が来た時にタコ焼きしてもいいかもしれない。
「どうぞ。」
「本当にありがとう!」
「いえいえ。」
「よく来てるのは彼女さんかい?元気があっていいね!」
「彼女ではないんですけど。あ、すみません!もしかして響いてましたか?」
「いやいや、たまに喜んだ声や悔しそうな叫び声が少し聞こえてくるくらいだよ!そっか、彼女さんじゃないのかぁ。」
「はい、ただの大学の同級生です。」
「そうなんだね。実は僕、一応小説家でね。恋愛ものを書いたりするんだけどさ。最近の若い子はどんなとこ行くとか実体験が聞きたくてね。」
「あ、そうだったんすね。参考になるかはわからないっすけどいつでも相談のるっすよ?」
「本当!?ありがとう!」
「うっす、たこ焼き楽しんでくださいね。」
「うん!じゃあ、しばらくお借りするね。」
前田さんは自分の家に戻っていった。
そして俺もゲームを再開する。
あ、今回俺がしているゲームはドラゴンミッションだ。
レベルを上げて武器や防具を新調しながらラスボスを倒しにいく有名なRPGゲームだ。
ストーリーもすごく凝ってあるからレベルを上げずに進めたい気持ちがあるがストーリーを進めるには中間ボスを倒さないと進まないのでレベルを上げないと倒せない。
このレベルを上げる、ストーリーを進めるのがこのゲームの醍醐味だと俺は思っている。
今はストーリー中盤といったところか。
明莉が帰ってくるまでに何とかクリアしたいのだが…
明莉が帰ってくるのが明後日。
…なんとかクリアできるはずだ。
いや、やってやろうじゃねーか!
ピンポーン!
再びチャイムが鳴った。
ん?誰だ?なんか頼んでたっけ?
ドアを開けるとそこには前田さんが立っていた。
「どしたんすか?」
「これ!焼けたタコ焼き!よかったら食べて!」
「まじっすか!?あざす!昼飯まだだったんで助かるっす!」
「じゃあ、まだ焼いてる分があるから。」
「マジあざっす!」
前田さんがくれたタコ焼きは焼きたてでおいしかった。
「うま。明莉と食べたかったな…」
あ、でも明莉は関西出身だからたこ焼きとかお好み焼きに関してはうるさそうだな…
今度一緒にやってみて様子を見よう。
「明莉、早く帰ってこないかなぁ。」
夏休みが始まってまだ数日。
一人でゲームをするのが前まで当たり前だったのにいつの間にか二人でするのが当たり前になってた。
一人っきりの部屋はいつもより広く感じた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます