夏休み前日の僕

暑い日が続く中、ついに待ちに待った夏休みが明日から始まる。

そんな今日は最後の講義に出ていた。

だが、最近大学に行くと視線を向けてしまう相手がいる。

なぜその子に視線を向けるのか。

理由は分かっている。

前回の件だ。

前回の件がわからない人の為に説明しておこう。

僕が通う大学には人気の女学生、野田明莉さんがいる。

とても綺麗で可愛くて優しい人だ。

四月に体調が悪かったところを助けてもらって以来、僕は彼女に恋をしている。

しかし、この前の講義が終わり帰ろうとしたところ明莉さんがある男の子に声をかけ仲良く話しているではないか!?

するとするとあら不思議?

次の日から大学内の男子がその男の子にあつい視線を送っているではないか!?

大学内でモブ的存在な僕。

これはそんな俺の大学キャンパスストーリーだ。


「って何考えてんだろ、僕。」


ここ最近、自分自身を変えようとしているから変になってきたのかもしれない。

たまに変な声も聞こえてくるし。


『許せん…なぜあんなチャラ男が明莉さんと…呪う…呪ってやる。』


こわっ!?

誰かがあの男の子に言ってるんだろうけど怖すぎるよ。

っとなんて考えていると講義が終わったようだ。

今日はやたらあの子のことを見てしまったような気がする。


***


バイトに向かっている途中、母親から電話がかかってきた。


「もしもし、かあちゃんよ。元気にしてるの?ご飯しっかり食べてる?しっかり寝た?バイト頑張ってるの?」


僕の家のおかんあるある、電話をかけてきていきなり質問攻撃してくることだ。

まぁ、僕は慣れてるから普通に返すけどね。


「もしもし、元気だよ。ご飯しっかり食べてるし、しっかり寝てるし、バイトも頑張ってるよ。今からバイトへ向かうところ。」

「ならいいのよ、明日から夏休みでしょ?盆は帰ってくるようにね。それだけよ。じゃあねー。」


ブツッ‼


いきなりかけてきていきなり切る。

おかんらしいや。

そうだ、近いうちにまた地元の友達に連絡してみよう。

なんて考えてるとあっという間にバイト先についた。


「お疲れさんでーす。」

「お疲れー、早速で悪いけどはいってくれー。」


店長に頼まれ僕は準備をして店に出た。

するとそこにはバイトではなく客として来ていた悠星がいた。


「どしたん?今日バイトの日じゃないでしょ?」

「なに、時間つぶしさ。気にしないでくれ。」


周りを見るとお客さんはいなかったので悠星に聞いてみた。


「ねぇ、前に言ってたさ、諦めたくなかったものって…?」

「ふふ、それを今聞くのかい?」

「だって、気になって…」

「そうだね。君が野田さんに話しかけれることができたらね。」

「うっ…」


悠星に少しもてあそばれたような感じだ。

すると悠星が


「夏が来るね。」

「夏?夏ならとっくに…」

「いいや、夏だよ。夏が始まる。」


あ、夏休みか。


「そうだね、夏が始まるね。」

「君の夏はどんな夏になるんだろうね。」


どんな夏か…僕も楽しみだ。

『夏が始まる』

という悠星の言葉が僕に夏を連れてきたような気がする。

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