夏休み前日の俺

暑い日が続く中、ついに待ちに待った夏休みが明日から始まる。

そんな今日は最後の講義に出ていた。

だがここ最近大学に来るとやたら視線を感じる。

理由はわかっている。

前回の件だ。

前回の件がわからない人の為に説明しておこう。

俺が通う大学には人気の女学生、野田明莉がいる。

俺はその子と家でゲームをするほど仲がいいのだが、大学のみんなにはそれを知られてなかった。

しかし、この前の講義が終わり帰ろうとしたところ明莉に声をかけられいつもの仲いい雰囲気をだしてしまった。

するとするとあら不思議?

次の日から大学内で俺に向いてくる視線が急増。

大学内である意味有名人になってしまった俺!

これはそんな俺の大学キャンパスストーリーだ。


「って何変なこと考えてんだろ、俺。」


ここ最近増えた視線が多すぎて変になっているのかもしれない。

たまに怨念の様なのも聞こえてくる。


『許せん…なぜあんなチャラ男が明莉さんと…呪う…呪ってやる。』


こんな感じのものだよ★

ってちゃうねん、ほんま頭おかしくなってるねん。

っとなんて考えていると講義が終わったようだ。

今日はいつもに増して視線が多かったような気がする。


***


家に帰る前にコンビニに寄った。

そこには俺を大学内で人気者…じゃなくて有名人にした本人がいた。


「おーす、明莉―。」

「ん?なんや君か。ちょうどよかった、今から行くとこやったねん。」

「お、それは今日の晩酌用か?明日から夏休みだからって徹夜してゲームはしたくねーぞ。」

「べつに一人でやるからいいですー。」


俺たちは買い物を済ませて家に向かって歩き出した。


「それにしても熱い…」

「暑すぎやろー、うち溶けてまうで。」

「さっき買ったアイスの種でも食うか。」

「あ、ずるい。いっこちょーだい。」

「しゃーなしよー。」


なんてこれが最近では当たり前になってきた。

去年の夏はどんなだったけ?

去年のことはどうでもいいや。


「なんか最近友達にめっちゃ彼氏できたん?って聞かれるんよ。」

「へ、へー。そうなんだ。」

「それでな、みんなにおらんていうんやけど。」

「うん?」

「女友達は残念な顔するし、男友達はちょっと嬉しそうな顔するんよな。変やろ?」


明莉さん、それはもう気づきましょうよ。

女の子の友達は明莉さんの恋愛が気になってるんですよ。

そして男の子友達は彼氏がいなくて安心して舞い上がってるのですよ。

あえて言わないけど。


「そーなんや。確かに、変かもしれないねー。」

「何その棒読みみたいな喋り方。君も変なの。」


べつに俺は周りに何を言われてもいい。

明莉と過ごすこの日々が心地いいから。

明日から夏休み。

明莉がいるからきっと波乱万丈な毎日になるに違いない。


「ねぇ、」

「ん?」

「明日から楽しみだね。」

「そうやな。」


この会話をした時俺は

『あ、夏休み始まるんだ』

と実感した。

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